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京都の街が桜色に染まり、宮川町の花街が『京おどり』で華やぐ4月10日、京都大学百周年記念ホール(百周年時計台記念館)で睡眠文化シンポジウム『新しいねむりに目を覚まそう〜人類進化と眠りの多様性を求めて〜』が開催されました。

このシンポジウムは6月26日まで京都大学総合博物館で開催されている特別展『ねむり展』の関連イベント。

京都大学総長であり、霊長類研究者の第一人者である山極壽一さん、文化人類学者で睡眠文化研究会理事の重田眞義さん(京都大学アフリカ地域研究資料センター教授)、チンパンジー研究者の座馬耕一郎さん(京都大学アフリカ地域研究資料センター研究員)、そしてアンドロイド研究で活躍する石黒浩さん(大阪大学基礎工学研究科特別教授)が登壇し、ヒトの進化と眠りの関係、眠りの多様性などについて語られました。

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世界睡眠会議のインタビューにも登場した重田眞義さん。

ファシリテーターを務める重田眞義さんの開会の挨拶と「睡眠文化論」の紹介に続いて、最初のプレゼンテーションは山極壽一さんによる『ゴリラのベッドと眠り〜睡眠進化論〜』。

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山極壽一さん(京都大学総長)のプレゼンテーション。

シルバーバックと呼ばれる大きなオスがいる家族は地上にベッドを作って寝るけれど、シルバーバックがいない家族は樹上にベッドを作ること。類人猿や霊長類の進化をたどると、チンパンジーやボノボ、ゴリラ、オランウータンなどヒトに近い種はベッドを作ることなど、眠り方が進化の過程を映し出していることを教えられる内容でした。

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ことに興味深かったのは、ヒトが怪獣(怖いモノ)に追いかけられる夢を見るのは、か弱い霊長類として森で暮らしていた頃の記憶が遺伝子に刻み込まれているからかも、という話題。みなさんの中にも、何かに追いかけられる夢をよく見る、という方は多いのではないでしょうか。

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石黒浩さん(大阪大学基礎工学研究科特別教授)のプレゼンテーション。

続いてのプレゼンテーションは、世界的なロボット工学研究者として知られる石黒浩さんによる『人を理解するためのロボット学』。自分を模したアンドロイドを携えての活動や、人間型ロボット研究が「心とは何か?」といった命題に通じていることなどが紹介されました。

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さらに、これから進展するであろうロボット社会におけるコミュニケーションと睡眠の関係に言及。石黒さんが考案した「人間をイメージさせる最もシンプルな形状をした、音声通信機用ホルダ付きクッション型メディア」である『ハグビー(R)』と、その活用事例を紹介。

お父さんが寝かしつけようとしてもぐずっていた小さな子どもが、ハグビーに入れたスマホからお母さんの声が聞こえるとスヤスヤ眠ってしまうなど、新しい「安眠」スタイルを想起させてくれる内容でした。ハグビーは、京大総合博物館の『ねむり展』にも展示されています。

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『人類進化ベッド』開発者の一人座馬耕一郎さん。

山極さんと石黒さんの話を受けて、チンパンジー研究者の座馬耕一郎さんのプレゼンテーションは『夜ならではのコミュニケーション』。真夜中にも声を出して周囲の仲間とコミュニケーションをするチンパンジーの眠り方から、眠りとコミュニケーション、文字通り安心で安全な「安眠」のために大切なものは何かを考察する内容でした。

ちなみに、この日のステージ中央に置かれていたのは、座馬さんが発案し、デザイナーの石川新一さん、寝具メーカーイワタと商品化を目指して開発中の『人類進化ベッド』。チンパンジーのベッドを参考にして、今までの常識を超えた安眠を手にするためのベッドです。

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人類進化ベッドは『ねむり展』会場に展示中!

最後は4名のパネリストによるディスカッションです。

山極さんは「人間は環境に適応してどこでも眠れるのが他の動物との違い。なので、眠りの快適性などあまり重視されてこなかった」というと、石黒さんが「最近、飛行機でビジネスクラスに乗ると、やたらとアロマを勧められるようになった。生活環境のケアが重視されるようになってきたのだと思う」と応えます。これら具体例から、今まさに「快適な睡眠」の新しい時代が始まろうとしているのではないか、との意見が出ました。

また、人類進化ベッドの感想は「優しく包まれる」という感想が多いと重田さんが紹介すると、山極さんは「ネオテニー現象といって、進化に連れて幼児期が長くなり、人間はチンパンジーよりも幼児時代が長く、大人になっても子どもっぽい仕草がコミュニケーションの重要な要素にもなっている。それが優しい、包まれるような眠りを求めるのではないか」と応答しました。

さらにこれに答える形で、石黒さんは親子で眠る子ども時代と夫婦で眠るのは実はシームレスにつながっているのではないか、と言います。「普通の動物は生殖と睡眠は綺麗に切れている。人間はなぜそこが曖昧なのか、非常に興味がある。脳は個の境界を取り払う作業をどのようにしているのか。感覚反応でも、物理的な距離だけでもなく、もっと深いところで繋がるのではないか。」と、ハグビーの活用につなげて意見を述べました。

山極さんはこれに別の角度から「狩猟採集族には男性は夜集団で集まってから一人で眠り、女性は子どもと一緒に眠る部族もあった。親子で眠るのと、夫婦で眠ることはつながっていないのではないか」と意見を述べられました。
このようなやりとりの中、時間ぎりぎりまで活発なディスカッションが行われ、全てのセッションが終了しました。

このシンポジウムを通じて語られたことをまとめてみると、眠りは進化しているということや、時代や場所、さまざまな要因によって眠りは多様であることへの気付きです。そして、自分自身の快適な眠りを求めるために、「眠りを文化として捉えることの面白さ」だったといえるでしょう。さて、あなたにとって「快適な睡眠」とはどんな眠りでしょうか。ぜひ『ねむり展』を訪ねて、考えてみてくださいね。

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会場は百周年時計台記念館の『百周年記念ホール』。4月24日に開催される世界睡眠会議『ウェルカムシンポジウム』の会場でもあります!

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進行役は睡眠文化研究会事務局長の鍛治恵さん。世界睡眠会議では、『ぐっすりコラム』を連載中です!

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シンポジウム終了後の壇上では、登壇者のみなさんが人類進化ベッドを囲んでの談笑がしばし盛り上がりました。

suichan-cmt-02いっぱい考えたから眠くなったよぅ。

更新日:2016年4月15日 書いた人:寄本好則

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