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世界には、心地よく眠りへ誘う、素晴らしい音楽がたくさんあります。
そんなDreamtime Songs~世界の眠族音楽をブロードキャスターのピーター・バラカンさんがセレクトします。

今回、ピーター・バラカンさんが紹介してくれるDreamtime Songは…

ジャズ界を代表するテナー・サックス奏者、チャールズ・ロイドの「All My Trials」

All My Trials – Charles Lloyd & The Marvels

こちらから聞くことができます

ピーター・バラカンさんが語るテナー・サックスの巨匠、チャールズ・ロイド

ピーター・バラカンさんが第3回のDreamtime Songに選んだのは、「All My Trials」。今年1月に来日を果たしブルーノート東京でライヴを行ったチャールズ・ロイド&ザ・マーヴェルズが、2016年春にリリースしたアルバム『I Long To See You』からの1曲です。ちなみに、バラカンさんは、このアルバムを昨年の年間ベスト10の1枚に選ばれています。

もともと、「All My Trials」は、讃美歌や子守歌として歌い継がれてきたトラディショナル・ソングで、チャールズ・ロイドとジャズ界の第一線で活躍するミュージシャンの卓越した演奏によって、とても心地よい眠りを誘ってくれる曲に仕上がっています。

今回、バラカンさんには、60年に近い活動歴を誇るジャズ・レジェンド、チャールズ・ロイドとの出会いや、アルバム『I Long To See You』について語っていただきました。

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チャールズ・ロイドとの出会いは、高校時代

― バラカンさん、チャールズ・ロイドとの出会いを教えてください。
 
バラカン 高校生のときです。チャールズ・ロイドが1966年に発表したアルバム『Forest Flower』が、ジャズで初のミリオン・セラーを記録し、大きな話題を呼んでいたんです。

当時、ロイドは、ロック界の大物プロモーター、ビル・グレアムが手掛けたサンフランシスコのライヴ会場、フィルモア・オーディトリアム(後にフィルモア・ウェストと改称)に出演するなどジャンルを超えた活動をしていて、そんな彼のサウンドが普段ジャズを聴かない人たちも浸透していたのです。

そのちょっと後に彼のことを知って、学校の近くにあった大きな図書館でチャールズ・ロイド・カルテットの『Dream Weaver』(1966)というアルバムを借りて聴きました。それが最初の出会いです。

その印象は、フリージャズの影響はあるものの、とても分かりやすいサウンドでした。それ以降、割りと好きなサックス奏者になりました。

ちなみに、当時のカルテットのメンバーは、ピアニストがキース・ジャレット、ドラマーがジャック・ディジョネット、ベーシストがセシル・マクビー。いま考えると途轍もない凄いメンバーですけど、当時、キース・ジャレットもジャック・ディジョネットも若くて無名だったんですね(笑)。


Forest Flower(1966)


Dream Weaver(1966)

― その後、チャールズ・ロイドとの再会は?

バラカン ジャズを頻繁に聴くようになって、彼のキャリアのことが少しずつ分かってきました。例えば、1958年のニューポート・ジャズ・フェスティヴァルを描いたドキュメンタリー映画「真夏の夜のジャズ」(1960年)の名演奏で知られるドラマー、チコ・ハミルトンのバンドに彼が加わっていたこととか、アルト・サックスの巨匠、キャノンボール・アダリーのグループでも演奏していました。ある時、キャノンボールのライヴの映像を観ていたら、ロイドもステージに立っていて、体格のいいキャノンボールより更に背が高いことがすごく印象に残りました。

チャールズ・ロイドとビック・サー

― チャールズ・ロイドは、音楽活動を休止していた時期があるそうですね。

バラカン 70年代、彼はビーチ・ボイズのサポートを務めることもありましたが、体調を崩したこともあり、音楽活動を休止していた時期があります。カリフォルニアのLAとサンフランシスコの中間に、海岸線の断崖絶壁で有名なビッグ・サーという場所にこもって、そこで生活を送っていたそうです。

― チャールズ・ロイドとビーチ・ボイズには、どんな接点があったのでしょう?

バラカン ビッグ・サーには、当時からTM(*)という瞑想法のメディテーション・センターがあることで知られ、ロイドも、このTMを実践していたんですが、ビーチ・ボイズのメンバー、マイク・ラヴもTMの信奉者で、このあたりの関係で、彼がバックを務めるようになったようです。

― チャールズ・ロイドは、ある意味、ニューエイジな方なんですね?

バラカン 1989年からドイツの名門ジャズ・レーベルECMに移籍して、16枚のアルバムを発表しています。落ち着いたサウンドを志向していくのですが、1994年に発表した『All My Relations』というアルバムを出します。そのタイトル、「All My Relations~わたしに繋がる全てのもの」という言葉は、ネイティヴ・アメリカンの思想から生まれたものです。実は彼の祖母はネイティヴ・アメリカンの血を引く人で、ロイドも子供の頃からその世界観の影響を受けていたと言います。

シンプルに美しいサウンド!アルバム『I Long To See You』

― アルバム『I Long To See You』 の魅力はいかがでしょう?

バラカン 去年の初め、ラジオ番組のリスナーから「チャールズ・ロイドがこんな面白いメンバーとアルバムを出しますよ」というメールが届いたんです。早速それで聴いてみたら、一発で気に入りましたね!

もう80歳近い、ジャズの大御所サックス奏者であるロイドと第一線のミュージシャンたちが、テクニックに走らず、あえて飾りをそぎ落とし、ものすごくシンプルにメロディを聴かせるアルバムを仕上げています。

とくに、ビル・フリゼルとグレッグ・リースという2人のギタリストが参加しているんですが、このコンビの相性が素晴らしかった。

ビル・フリゼルは、ジャズやアヴァンギャルド、アメリカン・ルーツ、映画音楽など、さまざまな音楽性を追求している独創的なギタリスト。一方のグレッグ・リースは、スティール・ギターやドブロなどの名手として知られています。

この二人は、昨年発表されたアラン・トゥーサントの遺作アルバム『American Tunes』やルシンダ・ウィリアムズのアルバム『The Ghosts of Highway 20』でも共演しているのですが、個性の違う二人の音が絶妙に溶け合って、とても魅力的なサウンドになっていますね。

そして、選曲も面白い。

ボブ・ディランの「Masters Of War」で幕を開け、2曲目「Of Course, Of Course 」と5曲目「Sombrero Sam」は、ロイド自身の初期のアルバムに収められていた曲で、このメンバーで久しぶりに再録音しています。

そのほか、反戦歌やトラディショナル・ソングが演奏されていますが、7曲目は、団塊世代のアメリカ人なら誰もが知っているフォーク・ソング「Last Night I Had the Strangest Dream」では、ウィリー・ネルソンがヴォーカル。そして9曲目の「You Are So Beautiful」は、ノーラ・ジョーンズが歌っています。

ラストを飾る「Barche Lamsel」は16分半の大作なんですけど、元になっているのは、平和の願いや自然への畏敬の念を込めたチベットのお祈りだそうで、彼のチベット仏教への関心が伺えますね。

本当に美しいサウンドで、スピリチュアルなアルバムです。

― バラカンさん、楽しいお話どうもありがとうございました。次回もよろしくお願いします。

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チャールズ・ロイド(Charles Lloyd)
1938年テネシー州、メンフィスに生まれ、10歳でサックスを吹き始めた彼は、まずR&Bのバンドで活躍。BBキング等のグループでも演奏した。
56年に大学で作曲を学び、61年にチコ・ハミルトンのグループに加わり本格的なプロとしての活動を始める。 キャノンボール・アダリーのグループでの活躍後、自らのカルテットを66年に結成。若きキース・ジャレットを擁したこのグループでの作品 『フォレスト・フラワー』 が大ヒットした。

*TM
Transcendental Meditationの略。トランセンデンタル・メディテーションとは、インドのスピリチュアル・リーダー、マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーが提唱した瞑想法。1960 年代後半、ビートルズがインドを訪れ、この瞑想法を体験。その後、ニューエイジ・ムーブメントの一翼を担い、全世界的に広まっている。

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Peter Barakan ピーター・バラカン
1951年ロンドン生まれ。ブロードキャスター。
1980年代から日本のラジオDJ、ブロードキャスターとして古今東西の素晴らしい音楽を紹介。日本の音楽文化を格段に豊かにした功労者のひとりであり、多くの音楽ファンから絶対的な信頼を集めている

book
ロックの英詞を読む 世界を変える歌
ピーター・バラカン著(集英社インターナショナル)

radio
Barakan Beat
「バラカン・ビート」

interFM /Sunday6.00-8.00pm
Weekend Sunshine
「ウィークエンド・サンシャイン」

NHK-FM/Saturday7.20-9.00am
Lifestyle Museum
「ライフスタイル・ミュージアム」

TokyoFM/Friday6.30-7.00pm

tv
Japanology plus
「ジャパノロジー・プラス」

NHKBS(in Japan) Tuesday3.00-3.30am
Offbeat&jazz
「オフビート&ジャズ」

WOWOW/check for dates and times

website 
peter barakan dot net  

撮影協力

自由が丘 ブルーブックスカフェ

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世界の眠族音楽 Vol.2:ボビー・チャールズ

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世界の眠族音楽 Vol.1:ピンク・フロイド

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