main_vol1_fin

世界には、心地よく眠りへ誘う、素晴らしい音楽がたくさんあります。
そんなDreamtime Songs~世界の眠族音楽をブロードキャスターのピーター・バラカンさんがセレクトします。

今回、ピーター・バラカンさんが紹介してくれるDreamtime Songは…

お昼寝にぴったり!なんとも心地よい曲、リオン・レッドボーンの「Lazybones」です。

ピーター・バラカンさんが語るリオン・レッドボーン&「Lazybones」

ピーター・バラカンさんが第4回のDreamtime Songに選んだのは、リオン・レッドボーンのデビューアルバム「ON THE TRACK」(1975)に収められた一曲「Lazybones」。

もともと、この「Lazybones」は、アメリカの音楽史に大きな足跡を残した作曲家ホーギー・カーマイケル(*1)と作詞家ジョニー・マーサー(*2)のコンビが1933年に共作した曲。それをリオン・レッドボーンがカバーし、とても心地よい眠りを誘ってくれる曲に仕上がっています。

今回、バラカンさんには、リオン・レッドボーンとの出会いや「Lazybones」という曲が生まれたエピソードなどについて語っていただきました。

renaissance01-line

伝説の輸入レコード店「芽瑠璃堂」での出会い

― バラカンさん、リオン・レッドボーンとの出会いを教えてください。
 
バラカン リオン・レッドボーンのデビューアルバム「ON THE TRACK」が発表されたのは1975年ですが、当時私は東京・吉祥寺に住んでいて、よく輸入レコード店「芽瑠璃堂」(*3)を訪れていました。

あるとき、その店の壁にこのレコードが飾ってあるのが目に留まったんです。

しばらく眺めていると、店員が「これ絶対、お薦めです!」と声をかけてきたんです。当然、リオン・レッドボーンというミュージシャンは知りませんでしたから店で試聴したと思いますが、とても気に入ったことを覚えています。

歌っているのは、ほとんど古い曲ばかりで、この「Lazybones」がアルバムの中でも目立つ、印象に残る曲でした。昼寝というか、朝寝坊にもぴったりの曲です。


ON THE TRACK (1975)

― それにしても、ゆったりし過ぎなくらいの曲ですね?

バラカン リオン・レッドボーンというミュージシャンは、1920年代や30年代のアメリカの懐かしい曲を取り上げて、アクースティック・ギターをゆったりと弾きながら、低音の声でボソボソと歌います。どの曲も同じスタイルなのですが、この「Lazybones」では、ポツン、ポツンとホーンが入ってきて、続くかなと思ったら続かない、よく考えてある編曲ですね。
それまで、戦前のブロードウェイミュージカルの曲などはあまり聴いたことがなかったのですが、彼を通じて、その魅力を知るようになりました。

もっとも、リオン・レッドボーンの創る音楽は時代に束縛されていません。歌い方や佇まいがとてもヒップなんですね

― "Lazybones"とは、どんな意味なんでしょう?

バラカン この曲のタイトルはワンワードですけど、英語では普通2ワードで、"Lazy Bones"として使われます。「怠け者」という意味です。

罵るような言葉ではなく、ユーモアや愛情を含んだ言い方で、日常会話でもよく使います。たとえば、いつも何もしないでダラダラしている人のことを"Lazy Bones"と呼んだりしますね。

謎に包まれたミュージシャン、リオン・レッドボーンの魅力

― リオン・レッドボーンはどんなミュージシャンなのでしょう?

バラカン 古き良き時代、東洋をゆったり旅する西洋人というイメージの出で立ち~サングラスに口髭、パナマ帽に白い麻のスーツ姿がトレードマークですけど、つい最近まで彼のバックグラウンドは謎に包まれたままでした。

1970年代中頃からカナダ・トロント周辺のナイト・クラブで活動をはじめたことは分かっていたのですが、本名や詳細を一切明かしていなかったのです。それが2年前、彼がライヴ活動を引退するという噂があって、その前後に少しだけ情報が伝わってきました。

情報によると、リオン・レッドボーンの本名は、ディクラン・ゴルバリアン(Dickran Gobalian)と言い、1949年8月26日、キプロス島で生まれたそうなんです。キプロスは、トルコやアルメニアとも関係が深く、その名前から察すると彼のルーツはアルメニア人かもしれません。

70年代末から80年代にかけては、人気TV番組「Saturday Night Live」に不定期で出演。さらに80年代から90年代にかけては、ジョニー・カースン(Johnny Carson)がホストを務めたTV番組「The Tonight Show」にも出演していたそうです。日本では知る人ぞ知るミュージシャンですけど、アメリカの50代以上には、そこそこ知名度があると思います。


Up a Lazy River(1992)

― ボブ・ディランとも関係があったそうですね?

バラカン 実はあるフォーク・フェスティヴァルで、デビュー前のリオン・レッドボーンとボブ・ディランは会っていたそうなんです。ディランはその出会いについて、後にローリング・ストーン誌で語っています。

いまボブ・ディランは、リオン・レッドボーンが歌い続けてきた1920年代などの懐かしい曲を好んで歌っていますが、その関係を考えると不思議ですね。

名曲「Lazybones」誕生秘話

― 今回のDreamtime Song「Lazybones」は、どんな歌なのでしょう?

バラカン この「Lazybones」は、1933年に作られたのですが、当時、ニューヨークのアパートに住んでいたホーギー・カーマイケルをジョニー・マーサーが訪ねたとき、ホーギーはソファで昼寝をしていたそうなんです。それを見たマーサーは、ホーギーに「オレ、レイジーボーンズという曲を書くよ!」と言ってペンを取り、二人は20分で曲を完成させてしまった、というエピソードが残っています。

その歌詞は、「お日様が昇っているのに寝ている怠け者は、コーンミール(とうもろこし粉)がいつまでたっても作れない!」など、アメリカ南部の農家で仕事をさぼっている男がユーモアたっぷりに描かれています。

実は1930年代当時、アメリカのエンターテインメント界では南部の文化や風習をストレートに表現することが避けられていたそうなんです。
しかし、南部の有名な町サバンナ出身のジョニー・マーサーは、それに抗議する意味を込めて、「コーンミール(とうもろこし粉)」など、いかにも南部らしい表現を歌詞にしたそうなんです。

― バラカンさん、楽しいお話どうもありがとうございました。次回もよろしくお願いします。

suichan-cmt-05
スイも、「Lazybones」を聴きながら、ゆったり昼寝をしてみるぐぅ。

renaissance01-line

リオン・レッドボーン(Leon Redbone)
本名、ディクラン・ゴバリアン (Dickran Gobalian)
1949年8月26日、キプロス共和国生まれ、カナダ・オンタリオ州トロント育ち。ラグタイム、ブルーズ、ジャズ、カントリー&フォークなどノスタルジー溢れるアメリカ音楽を歌い続けるミュージシャン。1970年代中頃からカナダ・トロントのナイト・クラブやフォーク・フェスティヴァルでライヴ中心の活動をスタート。1975年、ジョエル・ドーン(Joel Dorn)のプロデュースで初アルバム「On The Track」を発表。そのほかのアルバムには、1977年「Double Time」、1978年「Champagne Charlie」、1981年「From Branch To Branch」、1992年「Up a Lazy River」、2001年「Any Time」などがある。

*1 ホーギー・カーマイケル (Hoagy Carmichael)
1899年11月22日 – 1981年12月27日。アメリカ・インディアナ州ブルーミントン生まれの作曲家、歌手、ピアニスト、バンドリーダー、俳優。アメリカ中西部の人情味あふれる大らかな作風が持ち味で、スタンダード・ナンバー「スターダスト」(1927)、「ジョージア・オン・マイ・マインド」(1930)の作曲者として知られる。また、職業作曲家が存在した時代に自作の曲を自分で歌うという、後でいうところのシンガー・ソングライターの先駆けとなった。俳優としては、ハンフリー・ボガート主演「脱出」(1944)などに出演。

*2 ジョニー・マーサー (Johnny Mercer)
1909年11月18日―1976年6月25日。ジョージア州サバンナ生まれの卓抜した作詞・作曲家・歌手。1930年代半ばから1950年代中期に活躍し、ウィットに富み、ロマンティックな歌詞で知られる。作曲家ヘンリー・マンシーニとの映画「ティファニーで朝食を」の主題歌「ムーン・リバー」(1961)と「酒とバラの日々」の主題歌(1962)は、2年連続でオスカーを獲得。そのほかにも数多くの映画音楽やスタンダード・ナンバーを手がける。ビジネスマンとしても成功し、キャピトル・レコードの設立者の一人。

*3 芽瑠璃堂
かつて東京・吉祥寺などにあったマニアックな輸入盤専門のレコード・ショップ。現在は、オンラインショップとして復活。

お知らせ!

今年もピーター・バラカンさん監修の音楽フェスティヴァル Peter Barakan’s LIVE MAGIC 2017が開催されます!
日程:2017年10月21日(土)- 10月22日(日)
会場:恵比寿ガーデンプレイス ザ・ガーデンホール / ザ・ガーデンルーム
詳しくはこちらから!
https://www.livemagic.jp/

renaissance01-line

peter-prof
Peter Barakan ピーター・バラカン
1951年ロンドン生まれ。ブロードキャスター。
1980年代から日本のラジオDJ、ブロードキャスターとして古今東西の素晴らしい音楽を紹介。日本の音楽文化を格段に豊かにした功労者のひとりであり、多くの音楽ファンから絶対的な信頼を集めている

book
ロックの英詞を読む 世界を変える歌
ピーター・バラカン著(集英社インターナショナル)

radio
Barakan Beat
「バラカン・ビート」

interFM /Sunday6.00-8.00pm
Weekend Sunshine
「ウィークエンド・サンシャイン」

NHK-FM/Saturday7.20-9.00am
Lifestyle Museum
「ライフスタイル・ミュージアム」

TokyoFM/Friday6.30-7.00pm

tv
Japanology plus
「ジャパノロジー・プラス」

NHKBS(in Japan) Tuesday3.00-3.30am
Offbeat&jazz
「オフビート&ジャズ」

WOWOW/check for dates and times

website 
peter barakan dot net  

撮影協力

自由が丘 ブルーブックスカフェ

renaissance01-line


世界の眠族音楽 Vol.3:チャールズ・ロイド


世界の眠族音楽 Vol.2:ボビー・チャールズ

peterbarakan01-th
世界の眠族音楽 Vol.1:ピンク・フロイド

睡眠の大切さに少しでも目覚めたあなたはもう、
立派な睡マー
世界睡眠会議をフォローして
睡マーになりませんか!

ただいまの睡マさんは20584です。