可愛い動物の寝顔が満載 見ているだけで眠くなる
「おやすみ動物園」と「おひるね動物園」

世にも珍しい動物睡眠写真集

コアラ、クロヤギ、ペリカン、レッサーパンダ、ベンガルトラ。動物園に行って、寝ている動物を見たことはだれでもあると思います。いい天気の日、動物園で寝ている動物をぼーっと見て、こちらも眠くなってしまう、という体験をしたこともきっとあるはずです。

「おやすみ動物園」と「おひるね動物園」は、そうしたリラックスした気持ちになることができる、動物園で寝ている動物の写真ばかりを集めた写真集です。


「おひるね動物園」より

実はこの本の著者、「たちばなれんじ」さんは、演芸写真家としても有名な「橘蓮二」さんでもあります。ご本人と、河出書房新社の担当編集者である渡辺史絵さんにお話を伺ってきました。

「演芸写真家として、落語家さんを中心とした芸人さんを撮影しているんです。落語会は大抵が夜ですから陽の当たらないところにずっといることになっちゃう。それでリハビリも兼ねて、陽のあたる昼間の動物園によくいっていたんですね」と、たちばなさん。演芸写真家としては、95年から活動を始め、何冊もの写真集を出されています。

「もともと動物が好きで、動物園も好きだったんですよ。いっているとよく動物が寝ているのが目につく。それで彼らの寝姿が気になって撮り始めたんです。昼間ですから基本的に昼寝ですが、夜行性の動物だと昼は本気で寝ていたりしますね。あったかい日はやっぱりよく寝ています」(たちばなさん)

それで、行くたびに撮影しているうちにストックがたまり、落語の写真集の編集を担当されている渡辺史絵さんに見せたところ、これは面白い、本にしましょうということになったそうです。

「野生の大草原の中に動物がいるナショナルジオグラフィックのような写真集はありましたが、こうした野生動物がゆっくり寝ているという本はありませんでした。それが面白いかなと。比較的身近なうさぎなどのペットじゃなくて、ライオンなどがのんびり寝ているのはいいかなと」(渡辺さん)

「第1弾の「おやすみ動物園」を出したら、ちょっと思いがけないことに売れたんですよ。しかも重版もかかってテレビなどでも話題になった。それで第2弾の「おひるね動物園」を出しました。落語じゃないものでこういう本を出すとは思いませんでしたね」(たちばなさん)

見ていると眠くなる

写真集をめくると、フェネック、フンボルトペンギン、シンリンオオカミなど、たしかに動物園でしか見ることのできない動物たちが、野生ではありえないほどリラックスして、だらーんと寝ているのです。

「営業部からも見ているとこっちも眠くなると言われました。そうした入眠剤的な役割もあるかな、という狙いもありました」(渡辺さん)

この狙い通り、リラックスタイムに最適と評判です。読者層は圧倒的に20から40代の女性。自分用はもちろんですが、プレゼント用にも買われているとのことです。

「読者の評判で面白いのはカバが寝ているところがいい、って言われたんです。猫やうさぎのような体毛があってもふもふしているのがいいのかと思っていたら、意外にそうでもない。そうした意見は面白かったですね」(たちばなさん)

なるほど。たしかに、コビトカバやカリフォルニアアシカ、クロサイといった動物たちが寝ている写真は、子猫が寝ているのとは違う、一種独特のユーモラスな感じがします。また、テレビで紹介された時は、寝ている動物がとても人っぽくみえるとコメントされました。「こういう人っているな」「いろんなタイプの寝方あるよな」というおかしさもこの写真集にはあります。


「おひるね動物園」より

「いろんな動物がいる構成は意識しましたね。写真のストックも相当あったんですが、動物は体毛がそもそも茶色っぽいものが多いし、動物園でも土の上など茶色っぽいところにいることも多い。なのでほっておくとページが全部茶色に偏ってしまうので、フラミンゴのようなカラフルな鳥をポイントで入れたり、真っ白なフクロウを意識的に入れたりと工夫はしました」と渡辺さん。可愛いカピバラの寝姿のページをめくると、クロブタがでん、と寝ている写真になる。このちょっとした驚きも人気の秘密のようです。

撮影は動物園をぶらぶら歩いて、寝ている動物がいたら撮影する、というのが一番いいとのこと。じっと動物の前で待って狙っていても、なかなかうまく撮れないそうです。なので、とにかく動物園にはしょっちゅう通い、一番多い時には都内の動物園の年間パスポートを3つ持っていたとのこと。もちろん、地方にもしょっちゅう遠征したうえでですから相当なものです。「この頃、たちばなさんに電話すると、後ろでアー、アーって動物の声がよくしていた」と渡辺さんは笑います。


「おやすみ動物園」より

寄席も動物園も同じようなもんだよ(笑)

そして出来上がった「動物園で寝る動物」写真集。思ったようなものに仕上がった、とたちばなさんも渡辺さんもいい本になったと思っているようです。

「なるたけ演芸写真の「橘蓮二」とは違うものを目指しました。プロフィールもあえて入れないし、名前もひらがなにした。落語の写真には意味があるんです。談志師匠の初写真集なども出版しましたが、そうしたものには作品として残す価値や意味がある。演芸の世界は非常に緊張感のある世界です。それで頑張って張り詰めているところへ、こうした力の抜けた写真を出すことで自分でもバランスを取っているのかもしれません」(たちばなさん)

「動物の写真集はふわふわした甘ったるいものが多く、それが個人的にはあまり好きではありませんでした。たちばなさんの写真は力が抜けているとはいえ、余計な甘さはない。そこも読者の方に受け入れられたポイントだったのではないかと思っています。ベタベタしていないというか、作られていないのが読者にもわかるんですね」(渡辺さん)

落語家の柳家小三治師匠に、たちばなさんがこの写真集をお渡ししたところ、「寄席も動物園も同じようなもんだから(笑)」と笑っておっしゃられたとのこと。なるほど、流石に洒落のきいた一言です。

最後にたちばなさんにお気に入りの一枚はありますか?と尋ねると、「お気に入りはいつも言わないんです。見た人が決めてくれればいいですよ」と笑われました。

たちばなれんじ(橘蓮二)
1961年生まれ。86年より活動。落語、演芸の写真を中心に、雑誌などで活躍。写真集に『おあとがよろしいようで――東京寄席往来』『当世人気噺家写真集 高座の七人』『茂山逸平写真集 狂言の自由』(講談社文庫)、『狂言日和――茂山狂言の世界』(ぴあ)、『笑現の自由』『寄席・芸人・四季』(白夜書房)、『いろものさん』(河出書房新社)、『高座のそでから』(ちくま文庫)、『京都の狂言師 茂山家の人びと』(淡交社)などがある。

おやすみ動物園—眠る前に見たい動物たちの寝顔
たちばなれんじ
河出書房新社 1000円(+税)
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309272252/
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おひるね動物園
たちばなれんじ
河出書房新社 1000円(+税)
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309275451/
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橘蓮二さんの落語写真集
夢になるといけねぇ
河出書房新社 2500円(+税)
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309277851/
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ヒトの寝顔はこちらにもあるよ! →  睡マーさんいらっしゃい

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