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本来ならもっと大量の予算と人員を割き、国家規模で取り組まねばならぬ入眠調査があるとしたら、それは「人は寝るまでに何を考えているか」ではないだろうか。

ストレッチしてます、ゆっくりお風呂に浸かっています、本やスマホを見ています。そういった「行為」ならいくらでも客観的に観察できるし、本人も申告しやすくアンケート調査も容易だろう。

だがしかし、灯りを落として暗くなった部屋の中、布団をかぶって眠りに落ちるまでのあのまんじりともしない時間。そこで皆、どういったことを考えているかは、当人にみずから語ってもらうしか知る手立てがないのだ。

この人類のエアポケット的瞬間にいったいどれだけクリエイティブな思考が繰り返され、うち捨てられているのか。その叡智の全容を調べるためにも、大がかりな調査団と聞き取りメソッドを一刻も早く整備して欲しい。この連載を通じて何度でも繰り返すが、寝る前に何を考えているかなど、普通、人はまず話さないのだ。調査団が編成される際にはぜひわたしにも一声かけて欲しい。

さて、今回調査するのはそうした「頭の中で考えている」系統の中でも典型例である「頭の中でストーリーを考えている人」だ。完全に本人の都合と嗜好で話が進み、第三者にまったくとりつくしまがないという意味では、夢の話と共通するおもしろさ、あるいはつまらなさがある。なので今回、共感できない人にはまったく共感できないと思います。もちろん筆者としては長年求めていた宝物を手に入れたような充足感があるのだが。

話を聞いたのは、筆者が日ごろお世話になっているTBSラジオの局員・赤木舞子さん。TBSラジオの長寿番組「大沢遊里のゆうゆうワイド」のディレクター時代には、「パンティ赤木」として毎回パンティにかけた謎かけを披露する人として出演。同じくTBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」では「怖いもの研究家」として数回ゲスト出演してもらっている。

彼女には他人にちょっと伝わりにくい「こわいもの」がたくさんあり(「なぞなぞ」「エアマックス96」など)その語り口がすこぶる印象的で、筆者に深い印象を与えていたのである。なにかとピーキーな彼女の入眠儀式、ぜひあなたにも知ってもらいたい。

入眠調査室室長:古川 耕

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入眠調査 FILE:08
眠る前に妄想で
物語を考えている人
(前編)

調査対象
赤木舞子さん (会社員)



1985年9月15日生まれ。マスコミ勤務の会社員。休日は趣味の御朱印集めに神社仏閣を奔走しているが、巨像恐怖症のため、鳥居をくぐるのが苦手。

睡眠問診票

入眠時刻と起床時刻 : 25:00~7:00
平均睡眠時間 : 6時間くらい
寝るときの服 :
Tシャツ&腹巻&ユニクロのリラコ
ベッドor布団 : ベッド
寝るときの部屋の明るさ : 真っ暗
寝る前に必ずすること : 妄想
睡眠とは? : 逃げ場

ついに見つけた
「お話を考えながら眠る人」

古川 これまでいろんな人に入眠の話を聞いたりメールを読んだりしていて、「眠る前に妄想をする」、特に「ストーリーをずっと考え続ける」という人が一定数いることに気づいたんです。

赤木 ああ、そうなんですね。

古川 確実にいます。だからこれはひとつの典型的なパターンとして記録しておきたいなと思っていたんですが、そういう人をピンポイントで探すのがめっちゃ難しくて……。なので、ようやく、「いた!」っていう感じです。

赤木 恥ずかしい……。

古川 でしょうね。けど、そこをなんとか、どうしてもうかがいたいと。よろしくお願いします。

赤木 まずわたし、アレなんですよ。本当に眠りが浅い、プラス、眠るのが結構苦手で。

古川 「眠るのが苦手」ってどういうことですか?

赤木 ええと、上手く眠りに入れないんですよ。だから不眠症の本を昔、結構読んでいて。でも、一回寝るとそこそこ長く寝るので、別にショートスリーパーっていうわけじゃないんです。けど、とにかく寝付きが悪いんですよ。寝付きが悪い、手持ち無沙汰、それで妄想ストーリーに辿り着いたんですね

古川 今は寝落ちするまでスマホを見ている人が多いと思うんですけど、スマホは見ないんですか?

赤木 スマホは最初、見ています。けどわたし、寝るまでに3時間ぐらいかかっちゃうので、そのうち見るものがなくなっちゃうんですよ。あと、少しでも光があると絶対に寝れないので。部屋、真っ暗なんですよ。音も無音。なんなら耳栓したいぐらいで。なので、スマホを止めてから、さあ……っていう感じです。

古川 スマホの先がまだあるんだ。

赤木 そうです。で、あんまり時計を見ないようにしているので……時計を見ると焦っちゃうから……だから、そうですね。たとえば11時ぐらいにお布団に入ったとしたら、だいたいですけど、2時ぐらいまでは起きてると思います。

古川 えっ、毎日そんな感じ?

赤木 わりと。最近はちょっと体調の変化でわりとすぐ寝られるようになったんですけど、つい最近まではずっとそうでした。

古川 マジか! ご結婚されてからもずっとそうだったんですか?

赤木 そうですそうです。

古川 ということは、旦那さんが隣で寝ている状態で、こっちはずっとギンギンで。

赤木 そう。なので、歴代付き合った彼氏と、たとえばホテルとかに泊まるじゃないですか。もうずっと、いびきを聞いている状態。しかも外だから余計に眠れなくて。もう、ラブホの天井の模様とかまで覚えるぐらい

古川 ラブホとか言わなくていいよ。

赤木 でもよく、クラブとかの隣にあったりするじゃないですか? うるさくて寝れないんですよ。

古川 ああ、ラブホはだいたい繁華街にあるからね。

赤木 チカチカチカチカするし! 真っ暗にならないんですよ!

古川 いいからもう。でもまあ、ああいうところはだいたいちょっと明るいよね。

赤木 まったく寝れなくて。だからなるべくラブホには泊まりたくない。

古川 バカだな……。アイマスク的なやつはどうですか?

赤木 家ではしています。だから余計スマホを見れないです。

古川 じゃあわりと神経質系っぽい感じなんですね。

赤木 そうですね。光とか本当に……月明かりでも嫌ですね。

古川 本当? 真っ暗?

赤木 はい。超真っ暗。超無音。

古川 お酒飲んで寝たりはしないの?

赤木 お酒はわたし、めちゃくちゃ飲むんですけど、飲むと眠くなって15分だけ寝て、その後に覚醒しちゃうので、それで寝れるってことはないんですよね。飲み会の場で寝ちゃうんですよ、わたし。ちょっとだけ。

古川 ちょっとだけ寝て、その後に覚醒するの? え、そんな人、いる?

赤木 はい。なんか、目が覚めちゃいます。かならず4時ぐらいとかに目が覚めちゃうので、わたしにとってはよくないんですね。

古川 いわゆるナイトキャップ(寝酒)にならないんだ。

赤木 ならない。ならないです。

古川 ああそう。へぇ〜。それも珍しいな。

赤木 だから結構、悩んでました。でもまあ慣れたっていうか、「こんなもんだ」って思って諦めてますけど。

古川 はいはい。だいたい今は何時頃に家に帰るんですか?

赤木 結構まちまちなんですけど、平均すると9時ぐらいに帰ります。

古川 夜9時ぐらいに帰る。はいはい。そこから眠りに向かってセッティングは始まっている感じですか?

赤木 全然始まってないです。全然始まってなくて、帰ってテレビとか見て。わたし、最近止めたんですけど、ずっと朝シャン派だったんですよ。だからお風呂に夜、ゆっくり浸かるっていうことをしなくて。まずそこで、スムーズな入眠がたぶん阻害されていたと思うんですよ。

古川 スイッチが切り替わってないんでしょうね。

赤木 そうそうそう。ただ、旦那が決まった時間に寝たい人なので。旦那が「寝る」ってなると、わたしも焦って「じゃあわたしも寝る!」ってなって。ベッドには入るんですけど、まったく眠くならないっていう。

古川 なんかもう、端的にそのへんに原因がありそうですね。

赤木 でも、別に実家にいた時も焦ってたんですよ。「ああ、寝なきゃ!」って思って寝るんだけど、眠りに落ちないっていう。

古川 そこまで困ってたりすると、睡眠導入剤を試してみようとか思ったりしませんでした?

赤木 それもそうなんですけど、なんか、これはもうしょうがない、こんなもんだろうって思っていたんで……お薬には手を出さなかったですね。

古川 なるほど。そこまでは思い至らなかったんだ。

赤木 そうですね。

5歳の頃から
同じストーリーと
キャラクター

古川 はいはいはい……で、じゃあ、それで布団に入ります。真っ暗、スマホも消したけど、まだわりとギンギンで。

赤木 そうです。まったく眠くない!

古川 パッカーンと開いている状態。そこからどう落としていくか?っていうところですよね。

赤木 そうですね。で、これはあの、「眠ろう」という気持ちじゃなくて、ちっちゃい頃からそうなんですけど、現実逃避が始まるわけですね。もともと小さい頃、遅くまで本を読んだりゲームをしたりっていうのを許されてなかったんです。わたし、小さい頃からひとりで寝かされてたんですけど、電気をつけてなにか活動をするっていうことができなかったんです。

古川 自分の外側に頼ることができなかった。

赤木 そうそうそう。だから、もう、なにかを自分で考えるしかないという状態だったんですよね。それで、別にこうしようと思ったわけじゃなく、なんとなく、ずっとお話を考えるように……みたいな感じですね。

古川 「お話考え派」って、さっきも言ったけど、一定数いる派閥だとは思うんです。思うんですけど、あなたの場合はちょっと、その中でも珍しいタイプだと思います。というのも、そのひとつのストーリー? キャラクター? それがもう、ずーっと続いているんでしょ?

赤木 はい……5才ぐらいから続いていると思います

古川 マジか!!

赤木 超長いですよね。たぶん思考の癖みたいな感じなんでしょうけど。

古川 それを今日は差し支えない範囲でうかがいたいんですよ。

赤木 すっごい恥ずかしい……これ、本当に……。

古川 笑わないから大丈夫。

赤木 いや、笑っていただきたいんですけどね。すっごいあの……話したことはないんですけど、舞台は……。

古川 フフフ……。

赤木 もう笑ってる。あのね、舞台は、西部開拓時代

古川 きたね! いい出だしです。西部開拓時代……フフフ……5才からでしょ?

赤木 しかもわたし、別に西部劇とか見た覚えは1回もないんですよ。強いて言えば、ディズニーランドのなんとかトレイン、あるじゃないですか。

古川 汽車みたいなやつ?(ウエスタンリバー鉄道)

赤木 そうそうそう。なんとか号みたいな。あれに若干西部っぽい感じ、出てくるじゃないですか。それぐらい? だからわたしの中の西部開拓時代はものすごいフィクションなんですけど。

古川 じゃあどういう感じなの?

赤木 なんか、アメリカ人らしき人たちががんばって生きている、みたいな……。

古川 え、ちょっと待って下さいよ。それだけ聞くと『大草原の小さな家』(1974年〜1982年放送のアメリカNBC製作のドラマ)みたいな雰囲気だけど?

赤木 ああっ、わたしそれ、見たことあります! ミュージカルも。でもそんなね、美談じゃない。なんて言うのかな? もう何年もたっているので、いまではもう彼らも家族とかいますけど、最初は……。

古川 「彼ら」っていうのは、その話の中の人たちね。

赤木 そうですそうです。当初は若い人たちだけでコミュニティーが形成されていて。で、ある人は酒場みたいなのを経営してたり、みたいな感じで。それも、だんだん物心がついてきてからできた設定だと思うんですけど。で、いろんな立場で日々がんばっているっていう

古川 じゃあ何人かいるの?

赤木 めっちゃいますよ。

古川 めっちゃいる?

赤木 めっちゃいるので、サイドストーリーみたいなのがめっちゃあるんですよ。「今日はこの人たちの話」っていうのがあるんですよ。

古川 群像劇みたいな感じだ。

赤木 そうですそうです。医者のタマゴもいれば、他にもいろいろいて。で、外から敵とかも来るので。……なにを話しているんですか、わたしは?

古川 それが聞きたくて今日は来ているんです。



ストレス解消としての
「北斗の拳」
妄想ストーリー

赤木 ともかく、やっぱり問題が起こらないと話にならないんで、その起こった問題をみんなでどう解決していくか、とか。誰かが死んじゃったり、誰かが結ばれたり、そういういろんな人の群像劇ですよね。

古川 その中で時間がずっと流れているわけですか?

赤木 そうですね。だから、やっぱり自分が若い頃はキャラも若めに設定してたわけですよ。だけどやっぱり自分もこの歳になると、彼らも歳を取っていっているので、いい感じの年齢になってきていて。

古川 フフフ……いいですねえ……イマジナリーフレンドっていうのかな?

赤木 ただ、そこにわたしは一切介在しないので。わたしという個はないので。

古川 ああ。「そこに自分もいるんです」じゃないんだ。

赤木 まったくないです。わたしの現実逃避のためのあれなので、まったくわたしは出てこないです。

古川 はいはいはい。それ、わかるんですよ。オレも実はね、お話ブームが一瞬ありましたよ。

赤木 マジっすか?

古川 いちばん熱かった時代は、『北斗の拳』を読んでたころ。『北斗の拳』のあの荒廃した世界で、遠慮なくぶっ殺していい敵がいて、それを遠慮なくぶっ殺すケンシロウ的なキャラクターが活躍する話みたいなのを延々と寝る前に考えてました。ただ、それはストレス解消だったと思うんですよ、今にして思えば。

赤木 ああ、そうですね。

古川 そういう機能ではないの?

赤木 たしかにストレス解消ではないな。なんだったんだろう……? でも思い返してみると、その時々で自分の悩みとかは若干反映されていたかもしれないですね。

古川 ほう。たとえば?

赤木 たとえば一時期、母親を「この人、わたしのことをちゃんとかわいいと思っているのかしら?」って疑問に思った時期があって。小学校ぐらいかな? その時には、「親に捨てられる」みたいな話が入ってきたりとか。その時の自分の悩みみたいなのがおのずと……そこに投影されていたかもしれない。物語なんで、問題が起こったらいい方向に解決して次に行く感じになっているんですよね。だから、自分の中で実はそういう役目もあったかもしれないですね。自分なりの解決方法を自分が考えている物語に委ねるというか

古川 「こうなったらいいな」というのも含めて、そのストーリーとキャラクターに託していた、みたいな?

赤木 そう。で、そうすると、親の側の方も考えなきゃいけないわけです。

古川 ああそうか。

赤木 そうなると、「親にこういうふうに言ってほしい」みたいなのが想像に反映されるんですよ、たぶん。思い返してみると、そういうこともありましたね。ただ普段は結構ボーッと考えてるんですよ。それでなんとなく昨日の続きを考えているっていう感じなんですよね。明確にノルマとしてあるわけじゃないんですよ。

古川 一晩で一話完結みたいなことでもないの?

赤木 ないですね。それこそ途中で寝ちゃうこともあるんですよ。そうすると、結構長引く問題の場合は一ヶ月ぐらい考えていたり。

古川 ちょっとずつちょっとずつ進んでいくんだ。

赤木 抗争とかあるんで。

古川 えっ? なに?

赤木 抗争。隣町との抗争とか、そういうのがあるんで。

古川 さっきからちょいちょい「抗争」とか「敵が攻めてくる」みたいワードが出てくるけども。

赤木 やっぱり開拓時代なんで。彼らが開拓をしているんで。

古川 外敵がいるわけですね。

赤木 いるわけですね。だからインディアンとかじゃないんですけど、なんかあるんですね。

古川 なんなんだその世界。

赤木 あとね、なんかお祭りとかあるんですよ

古川 お祭り?

赤木 地域の。

古川 地域のお祭りが。

赤木 お祭りがあって。そういう時はやっぱり楽しい気分なので、そういうのは長く続きますね。

メインキャラクター
6人の名前

古川 そういうお祭りのときも主人公はやっぱり1人なんですか?

赤木 一応、主人公的な人はいるんですけど、結構平等ですね。もう本当にこれ、熟成されすぎているんで。本当に平等に時間を割いているんで。主人公的な人はいるんですけど、結構みんなメインキャストです。

古川 偏りがないように。メインキャストと呼べるのは、いま数えて何人ぐらいいそうですか?

赤木 ええとですね……(小声)本当に恥ずかしいな……。

古川 なかなかこういう機会はないと思うので。お願いします。

赤木 本当ですね。ええと、6人ですね。最初はたぶん6人とかでスタートしていますね。

古川 それは、その街というか村が6人だったわけじゃなくて?

赤木 じゃないです。もちろん、その他大勢もいたんですけど。

古川 メインで出てくるキャラクターが6人。

赤木 6人で。最初は6人のことばっかり考えていたんだと思いますね。でも、そこからどんどんどんどん派生して、サブキャラもかなりメインっぽくなってきましたね。

古川 うんうん。じゃあ、いまは結構増えてらっしゃるんじゃないですか?

赤木 ええ。増えてますし、名前も全員あります。

古川 あの、差し支えなければそれも……。

赤木 うわー! これ、本当に恥ずかしいな。

古川 これ、聞く方もなかなか胆力のいる話なんで。お互いの共同作業ということで。

赤木 これ、ただ、5才ぐらいから名前がついていたわけじゃないんですよ。最初から名前がついていたわけじゃないんです。どれぐらいに考えたんだろう……でもわたし、はっきりと覚えているのは、自分じゃ考えられなくて、学校の友達に「自分の好きな外国の人の名前、ちょっと言ってみて」みたいなのをみんなに聞いた覚えがあるんですよ。

古川 すごい。あなたが寝る前の話に思いっきりリアルな友達を巻き込んでいるわけですか?

赤木 もっと言うと、いま、美大とか出ている友達に絵を描いてもらったんです。「そのキャラを言うから、ちょっと描いてみて」って。

古川 半端なきエゴですね!

赤木 アハハハ!

古川 すごいじゃないですか。そんな、起きている人の手まで動かさせて

赤木 その子とは通学が一緒だったんで。「どういう話なの?」みたいなのは聞かれて話した覚えはあります。ちょっとだけ。

古川 その人とめちゃ話したいな……裏を取りたい。

赤木 で、何枚か絵を描いてもらった覚えがありますね。

古川 いやー、やってるやってる! いいですよ、赤木さん。なんですか、それ?

赤木 本当、恥ずかしいですね……ヤッバ!

古川 わかります。

赤木 で……名前ですか?

古川 名前です。差し支えない範囲で結構なんで。

赤木 ええと、6人言った方がいいですね……?

古川 そうですね。できれば。

赤木 ヤッバ! これ、本当大丈夫ですか? 言いますね。男性3人、言いますね。ひとり、「ジョゼ」っていうのがいます。

古川 ジョゼ。いいですね。

赤木 ひとり、「ギル」っていうのがいます。

古川 ギル。はいはいはい。

赤木 ひとり、「ジダン」っていうのがいます。

古川 ああ、いいですね。はいはい。これ、国籍もいろいろと分かれている感じで。

赤木 開拓時代なんで、たぶんアメリカ人。で、移民とかもあるかもわからないけど、そこらへんはそんなにね、何人っていうのはあんまり決めてなくて。

古川 まあ、なるほどなるほど。

赤木 で、女の人。「ニーナ」、「ダリア」……。

古川 ニーナ。ダリア。いいですね。

赤木 あと、すごい似ているんですけど、「アリア」っていうのがいるんですね。

古川 アリア。あら、狭い中で意外と被り気味で。

赤木 なんか一時、名前が思いつかなくて、全部ダンスの名前とか音楽関係の名前にしてやろうみたいな感じになっちゃって。面倒くさくて。だからダンス関係のジルバとか、すごいいます。タップとか。

古川 「面倒くさくなった」っていうのがよくわからないけど。誰に頼まれたでもないのに。

赤木 いや、だから人に頼んじゃうぐらいなんで。自分であんまり外国人の名前を考えるのが得意じゃなくて。

古川 ああ、そうか。名前は必要だから考えなきゃいけないっていうだけか。

赤木 ダリアは、わたしがダリアの花が好きだったんで。それだけ自分で考えて。あとはもう全部考えてもらったと思うんですよ。



6人から始まった
妄想ストーリーも
今や?

古川 この主要6人、ジョゼ、ギル、ジダン、ニーナ、ダリア、アリア。この中の関係性もあるわけですか?

赤木 はい。ダリアっていう人は刑事なんですね

古川 刑事。ヤバい。

赤木 女刑事なんですね。本当、大丈夫かな、これ? それで、この街を取り締まっているんです。なんで、まあ主要メンバーなんですけど、半分敵です。

古川 街を取り締まっている人が半分敵なの?

赤木 「取り締まっている」っていうか、ごめんなさい。先に言った方がよかった。あんまりいい輩じゃないんですよ。他の主人公たちが。

古川 ああ、いいですね。話にぐっと膨らみが出ますね。

赤木 で、ジョゼは賞金首なんですよ

古川 えっ、なに? 賞金首?

赤木 賞金首なんですよ。で、だから彼女は彼を追っているわけですよ。

古川 ダリアはジョゼを追っている。ああ、いいですね。なるほど。

赤木 で、ジダンはお医者さんです。

古川 ああ、町医者。

赤木 で、ジダンとは研修医の時から……まあ2人ともちゃんと卒業はしたんですけど、研修医から始まっていたんで。アリアはジダンと組んで。

古川 コンビね。

赤木 コンビなんですけど、彼女はレズです。

古川 お! ここでまた新しい設定が来ましたね。

赤木 で、ニーナは街でいちばん大きな「マゼンタ」っていうカフェっていうか酒場をやっているんですけど……。

古川 ああ、はいはい。西部劇に出てくるふうの?

赤木 そうそう。両開きの扉の。

古川 キィ〜ッて開くやつ。

赤木 そうそう、それそれ。で、この中ではニーナがいちばん歳上なんですけども。ギルとニーナは昔、婚約をしていたんですが、もういまは別れています。

古川 はいはい。

赤木 で、その3人の男は昔からつるんでいる仲間っていうか。

古川 ああ、ジョゼ、ギル、ジダン、この3人はそれぞれ面識がある。仲間。ふんふん。

赤木 ……みたいな6人です。

古川 なんか話して聞いているとさ、アメリカンドラマみたいなノリもちょっと感じるんですけど。

赤木 たしかに。でも、喜劇的な要素はあんまりないんですね。

古川 「敵が」ってさっきからちょいちょい出ているから、そうか。

赤木 対立させたいんでしょうね。わかんないですけども。

古川 じゃあ、この3人がわりと若い頃から始まって?

赤木 そうですね。もう本当に20代前半ぐらいから始まっているんですけども。

古川 えっ、いまは?

赤木 いまは40代ぐらいですね

古川 マジか! 結構いきましたね。

赤木 だから結構もう、熟成されてきましたよ。いろいろと。

古川 そうですね。

赤木 なので、ちょっと40代の話はもういいかな?ってなって、結構サイドストーリーに流れたんですね。

古川 もういまは、じゃあかなり増えているんですか?

赤木 かなり増えています。

古川 10人は超えている?

赤木 もう全然。もっといますね。ずっと追ってない人も含めると、50人以上はいます。

古川 デカ! これはもうサーガですね。

赤木 もう、敵のサイドストーリーとかも考え始めちゃって。止まらない。

古川 ああ、これはすごいね。ここまでちゃんと世界を持ってる人ってはじめて会ったかも。おもしろい!

赤木 いちばん恥ずかしいわ。

古川 ですよね。でも下手すればこれ、誰にも話さないまま死ぬ可能性もあったわけだから。

赤木 もう本当に今日がなかったら、誰にも話さないで死んでました。まあ、さっき言った彼女にはちょっと話しましたけど。

古川 そうね。学生の時の彼女。

赤木 絵を描いてくれましたから。それぞれ6人の。

古川 それ持ってないの? その絵。

赤木 あ、実家にあると思います。

古川 見せて! その絵見たらオレ、死ぬかもしれないけど。

赤木 その前にわたしが死にますよ。

古川 人の寝る前の妄想ストーリーの絵を見るなんて、なかなかないですからね……ヤバい! 超おもしろい!

赤木 かわいそうなことをしましたよ、彼女には。

古川 いやいやいや。そんなことないでしょう。

赤木 大丈夫ですかね?

古川 おもしろいよ!

赤木 この話をメモとられてること自体、いま本当に死にそうですけども。

古川 これ、ちゃんと「赤木舞子の妄想ストーリー」って書いておかないと、1年後には何のメモか全然わからないと思う。

赤木 ヤバい。

(続きます)

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古川 耕
1973年生まれ。フリーライター、放送作家。「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」「ジェーン・スー 生活は踊る」(共にTBSラジオ)などの構成を担当。アニメーションやコミック、HIPHOP、文房具について執筆。年に一度のボールペン人気投票「OKB48選抜総選挙」主宰。人が眠りにつく過程を必要以上に細かく聞き取っていく「入眠調査」を密かな趣味とする。詩人でデザイナーの小林大吾と制作ユニット「四〇四号室」を主宰。
「四〇四号室」 

ロゴ&イラストレーション:小林大吾

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ジョゼを追っているダリアにロマンを感じる。

更新日:2017年11月16日 書いた人:古川耕

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