食欲の秋! で気になる「寝ないと太る」ってホント?

中野信子さんに
「寝る寝るダイエット」
成功のポイントを聞いてみた。

ちゃんと寝ないと
太りやすくなる、
のはホントです。

爽やかな秋になって「毎晩ぐっすり眠れる〜」と感じている方も多いのではないでしょうか。そして、秋といえば食欲の秋! フルーツや海産物など旬の恵みが豊富で、食べ物がおいしく感じる季節です。と、そこで気になるのが、、、ダイエットです。

美味しい食べ物は大好きだけど、体重が増えてしまうのはノーサンキュー、ですよね。

さて、2017年3月に開催した『世界睡眠会議』とTBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』とのコラボイベント、トークショー『睡眠は踊る』で、司会のジェーン・スーさんと、ゲストで参加してくださった脳科学者・中野信子さんのお二人で、こんな会話がありました。

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ちゃんと寝ないと、
太る? ボケる?

スー 脳科学的な知見でいうと、ちゃんと寝ないと人はどうなっちゃうんですか?
中野 まず、太る……。
スー えー! 私ちゃんと寝てるよ(笑)。
中野 まず、レプチンという飽食シグナルを出して食欲を抑えるホルモンが、きちんと寝ないと分泌が減ることがわかっています。そして、グレリンという食欲を増進するホルモンは、寝ないと逆に増えるんです。
スー なるほど、肥満のリスクが激増ですね。
中野 はい。8時間睡眠に比べて4時間睡眠だと、70%以上リスクが上がるという報告もあります。
スー もう、寝る寝るダイエットしなきゃ。

おおっ、『寝る寝るダイエット』!!

寝ないと太る、と聞くと不気味ですが、「ちゃんと寝ることはダイエットにもいい」というのは、聞き捨てなりません。それはホントなのでしょうか。そして、どうすればいいのでしょうか。中野信子さんに聞いてみました。

「ちゃんと寝ないと太るって、たしかに私、言いましたね。不安を煽るようなことを言って申し訳ないですけど、本当のことだからしょうがないですよね」(中野さん)

ああ、やっぱりホントなんですね。

その理由は、脳とカラダのメカニズム。トークの中で中野さんが指摘しているように、睡眠不足になってしまうと、飽食シグナルを出す「レプチン」というホルモンが減少して、空腹ホルモンとも呼ばれる食欲を増進する「グレリン」というホルモンが増えることがわかっています。

アメリカで行われた実験では、1日あたり1時間20分程度睡眠時間が短いグループと、しっかり眠ったグループを比較すると、睡眠が短いグループで約500kcalも摂取カロリーが増えたという結果も報告されています。普通盛りのごはん1杯がだいたい235kcalですから、なんと茶碗2杯分もたくさん食べてしまうことになります。

「睡眠時間が短いということは起きて活動している時間が長くなり、余計に食べてしまうケースもあるでしょうから、それを含めた500kcalということです。ともあれ、脳やカラダのメカニズムとして、睡眠が不足すると太りやすくなるといって間違いはありません」(中野さん)

ちゃんと寝ないと
「理性」も
怪しくなってくる?

さらに「睡眠不足が脳に与える影響はそれだけじゃないんです」と中野さん。なんと、睡眠時間が短いと「不倫率が上がる」傾向があるという報告もあるそうです。

「脳の中で、状況を判断して正しい行動を選択する機能は、おもに前頭葉が司っています。睡眠不足になると、その前頭葉の機能が低下するというのは、研究者のコンセンサスでもありますから、睡眠不足で不倫率が上がるのは、おかしな話しではありません」(中野さん)

前頭葉にもいろいろあります。適切な行動をとるように自分を律する「背外側(DLPFC)」、いけない行動をとったときに後ろめたさを感じる「腹内側(MPFC)」、相手の気持ちを慮ったり共感を司る「眼窩前頭皮質(OFC)」などの機能が、睡眠不足になるとおしなべて低下してしまうのです。

「昔から、眠らせないようにして自白を引き出す拷問があるように、睡眠不足は人の判断力を奪ってしまうんですね」(中野さん)

つまり、ちゃんと寝ていないとレプチンとグレリンの働きで食欲が増してしまうのに加え「こんな夜中に食べちゃいけない」「明け方にラーメンを食べてしまうのは健康にも悪いんじゃないか」といった自分を抑制する判断力が低下して、ついつい食べてしまう → 太りやすくなってしまう、ということです。

「快眠サイクル時計」を
意識してみよう!

じゃあ、前頭葉を鍛えれば食べ過ぎに立ち向かえるのでは、と考えるのはちょっと浅はか。

「困ったことに、私たち人間の脳は理性で決めたことに素直に従ってくれるようにはできていません。決めたことを続ける意思の力はおもに背外側(DLPFC)の役割ですが、あまりこだわりすぎるのは健康的ではないですね。そもそも、前頭前皮質は人類がホモサピエンスになってから発達してきた部分です。ほ乳類の頃から存在していて本能的な判断を司る大脳辺縁系のほうが圧倒的に優位ですから、睡眠習慣もダイエットも、そうしたほうが良いと知っていることが続かないのは当然でもあるんです」(中野さん)

そもそも、眠りは意思の力だけでコントロールできることでもありません。「ちゃんと寝る!」と自分で決めたことにこだわる余り「ああ、今日も夜更かししてしまった」とか、「今夜もお菓子を食べてしまった」などと思い悩んでストレスを溜めてしまうことのほうが、デメリットが大きくなってしまう可能性すらあるのです。

では、いったいどうすれば『寝る寝るダイエット』を成功させられるのでしょうか?

「睡眠改善には、プラセボ(有効成分を含まないクスリ)がよく効くともいわれています。気持ちひとつで眠りの質はかなり改善できると考えてもいいのではないでしょうか。たとえば『世界睡眠会議』で提案している『快眠サイクル時計』をつくって、寝る時間と起きる時間をきちんと可視化するだけでも、睡眠への意識は変わってくると思いますよ」(中野さん)

『世界睡眠会議』では、自分の『快眠サイクル時計』をつくれるリーフレットを制作しています。PDFでダウンロードできるようにしておきますから、ぜひ、みなさんも試してみてください。


ダウンロードはこちら

「『快眠サイクル時計』で自分が寝ている時間を可視化することで、眠れないと思いこんでいる人も自分がちゃんと7時間寝ていることに気付いたり、眠れていると思っていても5時間しか寝ていないことに気付くことができるかも知れません。人間の脳のメカニズムとして、決めたことを厳密に続けていくのは難しいですけど、毎日の微調整はできますからね。自分の眠りを把握して、意識的に生活習慣を整えていくのが『寝る寝るダイエット』成功の秘訣といえるでしょうね」(中野さん)

ダイエット、そして快眠も1日にして成らず! 少しくらい眠れなくても必要以上に思い悩むのはやめて、毎日、できることから少しずつやってみようということですね。

中野さん、ありがとうございました!

中野信子さん
脳科学者。東京大学工学部卒業、同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。その後、フランス国立研究所にてニューロスピン博士研究員として活躍、2010年に帰国して、現在は東日本国際大学教授。テレビ番組などでも活躍中。世界で上位2%のIQ所有者のみが入会できる元MENSAの会員。『サイコパス』(文藝春秋)など著書多数。最新刊『ヒトは「いじめ」をやめられない』(小学館新書)も話題になっています。

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