鍛治 井森さんに眠りの時間割を書いていただきました。これを見ると、井森さんの睡眠時間はだいたい7時間くらいですね。

井森 昔から寝るのが好きなので、睡眠時間が6時間になっちゃうと少なく感じますね。起きる時間は決まっていなくて、もし帰宅が遅くなって3時に寝たとしたらだいたい10時に起床、0時なら7時に起きるという感じで、就寝時間の7時間後にスライドしていきます。……私、寝すぎですか(笑)?

鍛治 睡眠時間は個人差があるので、7時間睡眠で体調がいいのなら、井森さんに合っているんだと思います。ただ体内時計を整えるためには、起きる時刻をなるべく一定にしたほうがいいですね。

井森 たとえば3時に布団に入った場合でも、いつも7時起床なら7時に起きたほうがいいということですか?

鍛治 そうなんです。いつもの起床時間に差があるとしても、せいぜい2時間以内にとどめて、足りない睡眠は昼寝で補うようにするのがおすすめです。

じつは眠気にもリズムがあって、朝起きて夜寝る生活であれば13時~15時のあたりに中くらいレベルの眠気の波が訪れるようになっています。このときに20~30分程度、軽く昼寝をすればそのあとしゃきっとリフレッシュします。

井森 私、だいたいいつも朝方に1回、目を覚ましてしまうんです。それで二度寝するのですが、本当はこのときに起きちゃったほうがいいということですね?

鍛治 なるべくいつもと同じように起きて、そして朝食もちゃんと食べるのが理想ですね。

井森 仕事のときは軽い朝食をとるけれど、休みのときはついゆっくりして、朝食と昼食を兼ねて11時くらいに食べちゃいます。

鍛治 休日は1日2食という方は多いのですが、体内時計を整えるためには3食にしたいところですね。それというのも、体内時計は胃腸などほとんどの臓器にあって、食事をとるタイミングも体内時計のリズムに大きく影響しているんです。

井森 腹時計とか言いますもんね(笑)。でも、もしも仕事で決まった時間に食事がとれない時はどうすればいいですか?

鍛治 食事を分けてとる「分食」という方法があります。バナナ1本でもいいので、毎日の食事の時間に合わせて何か口にすることは体内時計を整えるのに有効です。

井森 なるほど~。体内時計をそこまで大切に考えたことはありませんでした。体内時計を整えると、どんないいことがあるんですか?

鍛治 朝起きて夜眠るサイクルが整ってくることで、夜、ぐっすり眠れるようになります。その結果、ホルモン分泌、代謝のリズムなども連動して整ってダイエットにもいい影響が出てくるんです。

井森 鍛治さん、わかった! 太りにくい体とか、そういう話に繋がってくるんですね(笑)。

鍛治 じつは睡眠と肥満の研究はかなり進んでいて、睡眠の分野では「寝ないと太る」ということが明らかになっているんですよ。

井森 寝ないと太る!! そうなんですか!

鍛治 すべての体内時計を統括する親時計は脳にあって、ホルモンの分泌や代謝のリズムとも深く関わっています。だから睡眠不足になったり、寝ていても眠りが浅くて睡眠不足状態になると、脳はエネルギーを必要とする方向にホルモンのバランスをシフトチェンジするんですね。その結果「レプチン」という満腹ホルモンが抑えられて、「グレリン」と呼ばれる食欲増進ホルモンが活性化してしまうんです。

井森 グレリン……やり手な感じのする名前ですね(笑)! たしかに夜遅い仕事場って、みんなで何か食べたりつまんだりしています。

鍛治 眠らないと食べたい欲求は続きますから、過食しやすくなるんです。ダイエット中なのに、ついつい食べてしまうというときは、睡眠を見直してみるといいかもしれません。きちんと睡眠をとっていればホルモンのバランスは戻っていくので、むやみに食べたくなる欲求は抑えられるようになります。

井森 睡眠をとっていないと痩せるイメージがあったんですけど、反対なんですね。大事なのはぐっすり寝ること。

鍛治 眠りの質には体温のリズムが大きく関わってきます。私たちの体は体温がおよそ1℃の幅で上下していて、下がる段階で眠気が訪れるようになっているのですが、下がる勾配が急なほど寝つきがよくなります。一日のうちで体温が一番高いのが、夕方から夜の早い時間帯。だからこのときに運動をするといったん体温が上昇しやすくなって、深い眠りが得られやすいんですよ。

井森 OLさんやサラリーマンの方が仕事帰りにジムに行くのはタイミング的にもいいんですね。

鍛治 そうです、そうです。眠りの時間割に話を戻すと、井森さんの場合、ゴルフの打ちっぱなしに行く時間を夕方にずらすと、より熟睡につながると思いますよ。あと、お風呂が遅めですが、ニュース番組を見る前に入るようにすれば、ちょうど布団に入るときに体温が下がってくるので自然に眠りにつきやすくなりますね。

井森 私、その知識はあったので、髪を乾かすときは最後に冷風をあてるようにしています。頭寒足熱じゃないけれど、体温を下げる効果があるんじゃないかと思って。

鍛治 なるほど!

井森 今回書いた時間割は、翌日が休みのパターンなんですが、仕事で4時起きとなると早く起きなきゃならないという緊張感で眠れないことがあります。そういうときは22時くらいに寝るんですけど、やっぱり眠れないから起きてスポーツニュースを観る。それでも眠れなくて、「あと4時間しか眠れない」「3時間しか眠れない」と考えると、すごく焦ります。

鍛治 焦れば焦るほど、眠気は遠ざかりますよね。

井森 だから最近は「あと4時間も眠れる」と思うようにしました。「〇時間しか」じゃなくて「〇時間も」って発想を転換して、メンタルを落ち着かせて寝るんです。

鍛治 すばらしいですね! 眠る時には心理的にも安定していることが大切で、そのためには自分をだますこと、つまり暗示をかけることも有効ですね。

井森 よかった~(笑)。でももっとスムーズに眠れるようにするにはどうすればいいんですか?

鍛治 眠りと目覚めのリズムは24時間よりちょっと長い周期なので、人間の体の仕組みとして、夜更かしするのは比較的簡単だけど早寝をするのは難しいんです。特に2時間早く寝るというのは、一番難しい。

井森 よくわかります。私も習慣的に、21時に布団に入ることは考えられないです。

鍛治 自分でも眠れないのがわかっているので、いきなり無理に早寝をするのは逆効果。眠れないことがストレスになって、ますます寝つきが悪くなってしまうかもしれませんね。井森さんのスケジュールにもよりますが、早起きする2~3日くらい前から寝る時間を少しずつ早めにしていくと、調整しやすくなりますよ。

井森 早寝の軽いリハーサルみたいな(笑)。週末4時起きなら、水曜日あたりから練習をしておくんですね。

鍛治 あとは環境面では、安眠できるようにエアコンを上手に使ったり、吸湿性のいいパジャマを着用したり。

井森 私、寝るときは一年中、長袖長ズボンの綿のパジャマを着ています。裾は必ずインして(笑)。綿素材は汗も吸うし、自宅で簡単に洗えるし、大人になってからよさがわかるようになってきました。

鍛治 とてもいいことです。寝入りばなに深部体温が下がる時にたくさん汗をかきますから、吸湿性の悪い素材だとじめじめして安眠を妨げることがあります。

井森 エアコンはリビングにあるのをつけて、冷気が寝室に回ってくるようにしています。これは眠りというより、肌を乾燥させないようにするため。20代のときはガンガンに寝室のエアコンを効かせていたけれど、40代からはもうやっていないです(笑)。

鍛治 眠る前にスマホやタブレットを見るようなことは?

井森 アナログ人間なので、スマホを長く見続けたりネットサーフィンをしたりはしないです。寝る前はいつもスポーツ新聞ですね。スポーツニュースに取り上げられないようなこぼれ話まで書かれているので、じっくり読みます。一通り読み終えたら、一日が終わったな、また明日って気分を切り替えて眠りにつきます。

鍛治 スポーツ新聞が入眠儀式のひとつになっているかもしれませんね。井森さんは、自覚していらっしゃらないけど、じつは睡眠の優等生。それが美しさの秘訣だと感じました。

井森 いや、どうなんでしょう!? 早起きのリハーサルはさっそく取り組んでみたいです。

鍛治 無理のない範囲で、ぜひ頑張ってくださいね。


井森美幸 さん
タレント。第9回ホリプロタレントスカウトキャラバングランプリを受賞し、1985年にデビュー。趣味は野球観戦や競馬、ゴルフなどスポーツ全般。出身地である群馬県では中山秀征さんとともに「ぐんま大使」を務め、イメージアップに貢献。多くのバラエティ番組などで活躍中。


鍛治恵 さん
『世界睡眠会議』編集委員長、睡眠改善インストラクター。東京生まれ。1989年に枕メーカーのロフテー株式会社入社後、快眠スタジオにて睡眠文化の調査研究業務に従事。睡眠文化研究所の設立にともない研究所に異動し、主任研究員を経て所長を務め、睡眠文化調査研究や睡眠文化フォーラムなどのコーディネーションを行なう。2009年にフリーランスとなり、NPO法人睡眠文化研究会の立ち上げに参加、事務局長として活躍中。

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4時間しか、と4時間も、は大きな違いだね〜。

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