昭和西川の西川ユカコ常務に聞いてみました。

予算別! 後悔しない羽毛布団の選び方

2017年も11月、本格的に寒い夜が多くなってきましたね。冬の夜、ぽかぽかの羽毛布団が恋しい季節、なんですが……。羽毛布団には1万円台で買えるものがあると思えば、100万円を超えるような超高級なものまであって、何を基準に選べばいいのか、素人には判断が付きにくい!

そこで世界睡眠会議の参加企業でもある昭和西川株式会社の常務取締役にして睡眠改善インストラクター。『東洋経済オンライン』で睡眠コラムを連載する西川ユカコさんに、素朴な疑問をぶつけてみました。

素朴な疑問
そもそも、羽毛布団は値段に見合った値打ちがあるの?

5万円や10万円は当たり前。睡眠研究部の 150万円の羽毛布団、その寝心地は? でレポートしているように、「自動車が買えちゃうよっ」て値段の超高級品も珍しくない羽毛布団。そもそも、値段に見合った価値ってあるんでしょうか?

答えは、イエス!

「眠っている間も、体温は変化しています。羽毛布団はただあたたかいだけではなく、体温の変化に合わせて布団の中の環境を調節してくれる力があるからです」(西川さん)

羽毛が発揮する偉大な機能のポイントは「羽枝(うし)」と呼ばれる部分にあります。羽毛布団には「ダウン(羽毛)」と「フェザー(羽根)」が使われています。ダウンは芯のないふわふわの綿毛の部分。フェザーはまさに鳥の羽根。芯となる羽軸があって弾力が強い特長があります。


ダウン


フェザー

羽枝というのは、フェザーの根っこのふわっとしたところや、ダウンの毛先からさらに細かく分かれている細かな毛。さらに、一本一本の羽枝にびっしりと生えている「小羽枝」と呼ばれる部分が、温めるときには広がって空気をたくさん抱え込み、温まって汗をかくなどして湿気を感知すると閉じて、熱や湿気を発散してくれる働きをするのです。自然の力は偉大で不思議。こうした優れたパワーがあるからこそ、羽毛は防寒着などの素材としても評価されているんですね。

つまり、羽毛布団は天然のエアコンのようなもの。軽くてあたたかい上に、布団の中の環境を快適に保ってくれるから、質のいい眠りをもたらしてくれるのです。

素朴な疑問
どうして、こんなに値段の差があるの?

羽毛布団が優れた機能をもっていることはわかりました。それにしても、同じ「羽毛布団」といいながら、値段の幅があまりにも広いのはなぜなんでしょう。

「羽毛布団の値段の差は、『ダウンボール』の大きさと密度の差といってもいいですね。ダウンボールは大きくて密度が高い方が抱え込む空気の量が増えるので、軽くてあたたかくて高級な布団になります。ただし、大きくするためには飼育日数を増やす必要があるので、人件費やエサ代も多くかかるようになり、羽毛としての原価が高くなるんです」(西川さん)

ダウンボールってご存じですか? ボールと聞くと、手のひらにのせた上の写真のようなかたまりを思い浮かべる人も多いでしょうが、正しくは「ひとつの綿毛」のこと。この、ひとつひとつが大きい方が、ふわふわで軽くてあたたかい! というのは、なるほど、納得できますね。


ダウンボール

また、羽毛布団の原料となる羽毛には大きく分けて「ダック=duck(アヒル)」と「グース=goose(ガチョウ)」があります。どちらも食用に飼育された鳥の副産物として羽毛が利用されます。

たとえば同じダックでも生後30~50日程度の期間飼育された若鳥の肉は食用としては柔らかくて人気ですが、ダウンボールは小さいです。一方、フォアグラのために飼育されるダックは90~120日と長期間飼育されることが多いので、より大きなダウンボールがとれます。またダックとグースですと、グースの方が体が大きいのでグースの方がより大きなダウンボールがとれるのです。またグースの羽枝はダックよりも短くて密に生えているので密度も高く柔らかで、より高級とされているのです。

素朴な疑問
価格帯ごとに、後悔しない羽毛布団選びのポイントってあるの?

なるほど、羽毛布団の値段の差は、原料の羽毛が違うから、ということですね。では、いろんな価格帯ごとに「後悔しない羽毛布団選びのポイント」ってあるんでしょうか?

「羽毛布団は、品質と値段がある程度比例しているといえます。後悔しない羽毛布団選びの判断基準として知っておいていただきたいのが『ダウンパワー(DP)』という数値です。JIS規格に定められた、羽毛1g 当たりの体積(cm3/g)を計測して数値化したもので、一般的に400以上が高品質といわれています」(西川さん)

価格帯ごとの羽毛布団選びの目安
●3万円前後ならダック(DP330以上が望ましい)
●6〜7万円ならグース(DP390以上が望ましい)
●10万円以上はマザーグース(DP430以上が望ましい)

ポイントは、ダウンパワー。どれだけ軽くてふわふわであたたかいかを、数値で示してくれているということですね。ダウンパワーが高ければ高いほど、より大きくて密度の高いダウンボールが原料に使われていて「軽くてあたたかくて寝心地がよくて長持ちする」(西川さん)のです!

「ただし、ダウンパワーにはグースよりもダックのほうが高い数値が出る傾向があるので、ダックはダック、グースはグース同士で比較してください」(西川さん)

「ダウン率」にも注目しましょう!

もうひとつ、羽毛布団の値段の違いに大きく関わっているのが「ダウン率」です。

「一羽のダックやグースから取れる羽毛を100%とすると、ダウンは25%以下。残りはフェザーです。それだけ貴重なので、ダウン率が高いものほど高級といえますね。ダックでもグースでも、おすすめはダウン率85%以上です。90%以上であれば高級品。95%以上は最高級品といえます」(西川さん)

ちなみに、どんなに高級な羽毛布団でもダウン100%というものはなく、弾力のあるフェザーを混ぜてあるそうです。とはいえ、ダウン率が高いほど軽くてあたたかいので、高級品になるほどダウン率は高くなっている、ということなんですね。

「今年の冬は羽毛布団を新調しよう!」と計画中の方は、予算に合わせ、ダウンパワーとダウン率に注目して、より寝心地のいい羽毛布団を探してみてくださいね。

素朴な疑問
数値だけで見分ける自信がもてないんですけど……。

最後に、数値だけでなく、自分自身の五感でいい羽毛布団を見分けるためのコツを教えていただきました。

「羽毛布団は丁寧に使えば長持ちして長年使えるという特長があります。傷みやすいのは側地の布ですし、定期的なメンテナンスをしていけば、羽毛自体は100年もつともいわれています。コストパフォーマンスを考えても、10万円の羽毛布団を7年間使えば、1日当たり40円ですから、決して高すぎる買い物ではないですよね」(西川さん)

だからこそ、店頭でしっかり品質を確かめた上で購入するのがオススメです。店頭でのチェックポイントとして西川さんが教えてくれたのが「嗅いで」「叩いて」「押して」みることです。

嗅いでみる
「まずは、においを確かめてみてください。天然の羽毛なのでニオイがあるのは当然ですが、あまりにも臭いと感じるものは避けましょう。ちなみにダックは雑食、グースは草食なので、ダックの方がグースより臭いやすい傾向があります」

叩いてみる
「野外で飼育された鳥の羽毛が原料なので、原料となる羽毛にはゴミやホコリが混じっています。だから製造過程の洗浄などが不十分だと、叩くと思った以上のホコリが出ることがあります。また、叩いてみることで中の羽毛のニオイをさらに感じやすくなる効果もあります。許容範囲のニオイかどうか、この段階でも確かめることもできます」

押してみる
「使われている羽毛の質が悪いと、押してへこんだ部分がなかなか元に戻りません。押してもすぐに戻る弾力とふくらみがあれば、質のいい羽毛が使われている証です。布団そのものの『ふっくら感』と合わせてチェックしましょう」

いかがでしょうか。羽毛布団選びの疑問がすっきりしましたよね。

品質のいい羽毛布団は、なんといっても身体を包み込んでくれるような「パラダイス感」が特長です。布団の中の温度と湿度の調整機能があり、軽くて寝心地がいいので眠りがしっかり深くなるというだけでなく、ベッドに入って寝るまでのまどろむ時間まで幸せにしてくれます。

みなさんも質のいい羽毛布団をGETして、幸せな眠りを楽しんでくださいね!

西川ユカコさん

睡眠改善インストラクター、昭和西川株式会社常務取締役 兼 日本快眠環境科学ラボ顧問。大学卒業後、出版社に勤務して『ヴァンテーヌ』『25ans』や『婦人画報』の編集者として活躍。現在は昭和西川の常務でありつつ、睡眠改善インストラクターとして『東洋経済オンライン』で睡眠コラムの連載を手掛けたり、各種メディアで快眠アドバイスをしたり講演活動を行っている。

『東洋経済オンライン』西川さんの著者ページ

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