睡眠の質を高められるように体のリズムを整えるには、1日24時間、メリハリのあるライフスタイルを習慣づけることが大切です。『世界睡眠会議』では、習慣づくりのサポートとして自分の「快眠サイクル時計」を作ることをおすすめしています。
「快眠サイクル時計」の詳しい説明はコチラ

自分の「快眠サイクル時計」にどういう項目が必要で、何をポイントに作成するのが良いのかなど、「快眠サイクル時計」の作り方と使い方を、睡眠改善インストラクター・鍛治恵さんが解説します。

「快眠サイクル時計」の記入例

対談『睡眠不足はダイエットの大敵?』で井森美幸さんが作成した「快眠サイクル時計」です。

今の生活パターンではなく、「こうなりたい」と思う快眠サイクルを決める

人は約24時間周期の体内時計のリズムをもっています。このリズムにより、体が活動的になる時間や眠くなる時間などが決まってきます。人は本来、日中活動して、夜に休息する「昼行性の行動リズム」をもっている生き物です。体内時計のリズムを整えることは、睡眠の質を良くすることにつながります。

これと連動して、体温、血圧、自律神経の活動、ホルモンの分泌なども約24時間周期のリズムを刻んでおり、互いに影響し合っています。リズムが整って良い睡眠がとれれば日中のパフォーマンスがアップし、健康増進や病気予防、さらには美容にも良い影響をもたらします。

「快眠サイクル時計」とは、体内時計のリズムを整えることで睡眠の質を良くし、心身と生活全般をより健やかに豊かにするツールなのです。

書き込むのは、現在どんな生活をしているかではありません。自分がしたいと思っている生活、目指したい生活のサイクルを組み立てるのがポイントです。休日ではなく、平均的な平日のサイクルを作ってみましょう。

記入すべき基本項目は8つ

上の「快眠サイクル時計」シートはコチラからダウンロードいただけます。
下の記入例を参考にしつつ、シートに理想の1日のサイクルを書き込んでみましょう。記入する項目は下記の8つが基本。番号の順に書き進めてください。

1. 最初に起床時刻を決める
起床は1日の起点になるもの。より良い睡眠のためには、寝る時刻ではなく、まず起きる時刻を決めることが大切です。
平日のサイクルを考え、朝食の時間も確保できるように起床時刻を設定しましょう。

2. 朝、日光を浴びる時間を設定する
体内時計は太陽の光を手がかりにしてリセットされ、1 日の時を刻み始めます。朝の光によるリセットが行われないと、その夜に寝つくことのできる時刻が少しずつ遅れます。
起床時刻が遅くなったり、朝、暗い室内で長い時間を過ごしてしまうことで、体内時計のリセットがうまく行われないことがあると言われています。朝に光を浴びることは、体内リズムにとってそれくらい重要なこと。あえて快眠サイクルに組み込み、必ず日光を浴びる習慣をつけましょう。

目覚めてから30分以内に浴びるのがおすすめ。晴天でなくても、部屋に差し込むやさしい光で大丈夫。カーテンを開けて室内に光を入れたり、窓際で食事をするだけで十分効果があります。

3. 日光を浴びてから16〜17時間後に就寝時刻を設定する
日光を浴びて体内時計のスイッチが入ると、14〜16時間後に睡眠を促進するホルモン「メラトニン」が産生され、眠りに入りやすい体内環境になります。眠気が強くなるのはその1〜2時間後なので、2.で決めた光を浴びる時間の16〜17時間後に就寝時刻を設定しましょう。

4. 朝食の時間を決める
朝食はとらないという方がよくいますが、朝食をとって胃の動きが活発になることで、内臓を動かす司令塔である自律神経が目覚め、活動のスイッチが入ります。脳のエネルギー源となる糖質を中心に、温かい食事をよくかんで食べることが、体内リズムを整えてくれます。ゆっくり食べている時間がないという方は、「おめざ」としてヨーグルト1個、バナナ1本だけでもいいので、何か食べる習慣をつけましょう。

朝食は起きてから1〜2時間以内にとるようにします。

5. 平日に行う決まった行動を書き込む
学生なら登校時刻&下校時刻、サークル活動など。働いている方は出社時刻&退社時刻など。主婦の方なら家事や買い物の時間など、平日に必ず決まって行うことがあれば、その時間を記入します。

6. 昼食と夕食の時間も大事
朝食と同様、食事をとることで体内時計が正しく作動して、よりしっかりリズムを整えることができます。それをふまえて、バランスのいい時間を選ぶようにしましょう。
仕事でどうしても夕食は遅い時間なるという方も、まずはいったん「本当はこのくらいの時間に食べたい」と思う時間に書き込んでみてください。

寝る直前に夕食をとると、体がエネルギーを体内に蓄えようとするため太りやすくなり、さらに、内臓が消化活動をしているために眠りのリズムと消化吸収のリズムがバラバラになって、眠りは浅くなり、睡眠の質も悪くなります。就寝の3時間前には食事を済ませるのが理想です。

7. 入浴は就寝までに余裕をもって!
入浴によって深部体温(体の中心部分の体温)が上がり、その後、深部体温が下がるのと同調して眠気がやってきます。入浴することで交感神経から副交感神経の優位へと切り替わり、リラックスします。深部体温が下がるまでの時間には個人差、季節差があるので、いろいろ試してみてください。
なお、入浴や寝る前の運動は、時間帯や湯の温度(運動の場合は強度)によっては体と脳を覚醒させてしまい、逆効果になるので、自分に合うスタイルを工夫してみると良いでしょう。

8. 習慣にしていることがあれば書き込みましょう
習い事や運動、犬の散歩や寝る前の読書タイムなど、自分が習慣にしていることがあったらそれも書き込みます。

さて、あなたの「快眠サイクル時計」はでき上がりましたか?

自分に合った睡眠時間の見つけ方!

上の「3. 日の光を浴びてから16〜17時間後に就寝時刻を設定する」の方法で就寝時刻を設定した場合、日の光を浴びた16時間後に就寝する方は睡眠時間が8時間になります。17時間後だと睡眠時間は7時間です。
「7時間と8時間、どちらが自分に合うのかわからない」と悩んでしまう方もいるでしょう。

また、「今まで6時間睡眠で問題ないから、睡眠は6時間にしたい」という方だっているかもしれません。でも、6時間が本当にあなたにベストな睡眠時間なのでしょうか? 自分では気づいていないだけで、実は6時間では睡眠時間が不足して「睡眠負債(溜まってしまった睡眠不足)」の原因になっているというケースは少なくありません。

自分に合った睡眠時間が分からなかったり、睡眠時間に疑問を感じたりしたときは、こちらの記事《自分に最適な睡眠が見つかる!「睡眠日誌」で眠りをチェック》を参考にしてください。

まずは冒頭でご紹介している「悪い睡眠のサイン」をチェックしてみましょう。1つでも当てはまっていたら、現在の睡眠時間が合っていないなど、悪い睡眠になっている可能性が大です。

自分の睡眠が悪い睡眠になっていた方、自分にベストな睡眠時間を知りたいという方は、記事で紹介している「睡眠日誌」をつけるのが最も効果的です。朝、ごく簡単な項目を記入するだけなので、ぜひ試してみてください。

「快眠サイクル時計」に合わせて生活してみる

自分の「快眠サイクル時計」を作ったら、できるだけ生活をそれに合わせていきましょう。といっても、いきなり生活を大きく変えるのは大変ですし、無理に変えても体に負担となってしまいます。まずは以下の5つのポイントに注意して生活してみましょう。

■ 起きる時間はできる限り一定にする
体内時計のリズムを整える方法の1つは、毎日決まった時間に起きて同じリズムを保つことです。「快眠サイクル時計」を実践する際は、起床時刻をできる限り毎日守ることから始めましょう。

ただし、「快眠サイクル時計」の起床時刻が現状よりも大幅に早い場合は要注意。いきなり早めるとリバウンドしてしまうので、1日5分ずつくらいを目安に起床時刻を早めていくのがオススメです。これなら無理せずに1週間で35分、1カ月で2時間半も起床時刻を早めることができます。

平日は毎日同じ時刻に起床し、土日も2時間以上ズレないようにするのが大切です。どうしても土日の起床時刻が遅くなってしまう場合、日曜だけでも月曜に近い起床時刻にすると、月曜日がずいぶん楽になります。

■ 眠くなったら15時までに昼寝で解消
起床時刻を早めると、日中に眠くなってしまうことがよくあります。そういうときは、まず朝にいったん起床して朝食をとり、15時までに短い昼寝をするようにすると、夜の睡眠に影響を出さずに眠気を解消できます。
昼寝の時間は、平日なら15〜20分程度に、週末でも90分以内で起きるようにしましょう。ただし、長い昼寝が必要な方は睡眠が足りていない可能性大。当面は緊急避難的に90分以内でいいですが、徐々に20分程度にしていきましょう。

■ 夕食が遅くなってしまう時は「分食」に
仕事や家族の食事時間の都合でどうしても夕食が遅くなり、「快眠サイクル時計」のようにはできないという場合もあるでしょう。そういうときは「分食」で対応するのがおすすめです。
「快眠サイクル時計」の夕食時間におにぎり1つやパン1個などの軽食をとり、帰宅後に消化の良い物をほんの少し、空腹をいやす程度に食べます。この方法なら胃腸の負担が軽く済み、良い眠りを得ることが可能です。

■ 日中は活動的に過ごす
良い眠りには、日中の疲れをほどよく溜めることも必要です。日中は積極的に体や脳を使って覚醒させましょう。
できるだけ「歩く」ように心がけ、夕方〜夜の体温が高い時間帯に軽い運動を心がけることも良い睡眠につながります。

■ 夕食後は部屋の照明を弱く
眠るまでの数時間、リビングで浴びる光が強過ぎると、知らず知らずのあいだに眠気が遠くに押しやられてしまいます。リビングの照明は暖色系がよく、蛍光灯の白い光は昼間並みに強いため、眠りが妨げられてしまいます。といっても、照明を変えるのは大変なので、まずは夕食が終わったら天井灯を弱めにしてみましょう。天井灯を消し、デスクライトを壁に向けて間接照明にするのもおすすめです。できるだけ柔らかな明かりの中で過ごす工夫をしましょう。

■ 最初はムリに寝ようとしないで
就寝時刻を決めると、「その時間に寝なきゃいけない」と思いがちです。でも、眠くもないのに寝床に入っても、もんもんとしてストレスが溜まるだけです。
最初は就寝時刻にぴったり眠くならなくてもあわてず、眠気がくるのをリラックスして待って、眠くなってから寝床に入るようにしましょう。同じ時間に起床することを続けていれば、自然と決めた就寝時刻に眠れるようになってくるはずです。

サイクルが乱れたときは「最初に戻る」でリカバリー

上で紹介した6つのポイントは、「快眠サイクル時計」生活を始める時だけでなく、サイクルが大幅に乱れてしまったときのリカバリーポイントでもあります。

「快眠サイクル時計」にある程度慣れてきたのに、仕事で残業が続いたり旅行に行ったりしてサイクルが大幅に乱れてしまったときは、いったん振り出しに戻ったつもりで、上記の6ポイントを踏まえてサイクルを立て直しましょう。

「快眠サイクル時計」を作ることで自分の睡眠時間を見つめ直し、「睡眠日誌」で自分に最適な睡眠を見つけ、それをまた「快眠サイクル時計」に反映する。そうしてより自分にベストな「快眠サイクル時計」を組み立てることができれば、あなたの睡眠や生活が、きっと驚くほど変わっていくはず。
ぜひトライしてみてください。


監修:NPO睡眠文化研究会事務局長 睡眠改善インストラクター
鍛治 恵(かじ めぐみ)
東京生まれ。1989年ロフテー株式会社入社後、快眠スタジオにて睡眠文化の調査研究業務に従事。1999年睡眠文化研究所の設立にともない研究所に異動後、主任研究員を経て2009年まで同所長。睡眠文化調査研究や睡眠文化フォーラムなどのコーディネートを行う。2006年、睡眠改善インストラクター認定。2009年ロフテー株式会社を退社しフリーに。同年10月から独立した活動を開始し、NPO睡眠文化研究会を立ち上げる。2016年、京都大学で開催される「ねむり展」(4月6日~6月26日)および「ねむり展」関連イベント「京都で眠ろう」でコーディネーターを務める。

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