大晦日、子どもと夜更かししてもいいのでしょうか?

睡眠ライブラリー
白濱龍太郎先生の睡眠なんでも相談~その1

大晦日、子どもと夜更かししてもいいのでしょうか?

日本睡眠学会認定医の白濱龍太郎先生に、眠りの悩みを相談します。第1回目は「大晦日、3歳の娘に夜更かしさせても大丈夫でしょうか?」という質問です。結論は「1日くらいはかまわない」(白濱先生)とのこと。その理由や注意点など、白濱先生からのアドバイスをご紹介します!

避けたいのは、慢性的に睡眠のリズムが乱れること

子どもの睡眠についてのこうした相談を受けることは多いですね。結論から言いますと「1日くらいの夜更かしは気にする必要はありません」ということになります。

たとえば、オリンピック級のアスリートの方でも「ここ一番、試合の前日に眠れなかったらどうしよう」と気にすることがあるのですが、実は、1日だけ寝不足になってしまうことによるパフォーマンス低下はそれほどでもないと言われています。問題なのは、話題になった「睡眠負債」のように、寝不足が慢性化してしまうこと。大晦日のような特別な日に「今夜は除夜の鐘を聞くまで起きてていいからね」と1日だけ夜更かしを容認することは、それほど気にする必要はないといえるのです。

ただし、翌朝の寝坊は避けましょう!

とはいえ、「昨夜は寝るのが遅かったから、今朝はもっと眠らせてあげよう」などと、野放図な朝寝坊をさせてしまうことは避けるべき。夜更かしすることで睡眠のリズムが乱れるきっかけにはなってしまいますから、次の日はちゃんといつもの時間に起きて、子どもの概日リズム(いわゆる体内時計のリズム)が乱れないようにしてあげることが大切です。いつも通りに早起きして、家族揃っておせち料理やお雑煮を楽しみ、初詣に行くなど、子どもと一緒に「お正月」をしっかりと楽しめるといいですね。

おせち料理

元旦のお昼過ぎくらい、初詣を終えて帰宅するころには、大晦日に夜更かしをした子どもは眠くなってしまうかも知れません。そんな時には30分程度を目安にお昼寝の時間をつくってあげるなど、体内時計を上手に整える配慮をしてあげましょう。

日常の睡眠習慣を整えることを大切に!

そもそも、正しい睡眠習慣が身に付いている子どもであれば、大晦日、除夜の鐘まで起きていていいよといわれても、起きていられないのではないか(そんな時は、無理に起こす必要はないですよね)と思います。私にも、まだ小学校に上がる前の子どもが2人います。仕事柄、自分の子どもの睡眠習慣が乱れていると信頼感がなくなってしまいそうなので(笑)、子どもの生活リズムが乱れないよう、日頃から気をつけています。早い日は、19時過ぎには寝てしまいますね。

父親として心掛けているのは、毎日しっかりと身体を動かすようにしてあげることや、メリハリのある生活習慣が身に付くようにしてあげることです。

具体的には、たとえば、夕方以降、子どもたちがテレビや動画サイトなどを観すぎないようにすることです。家事や仕事で手が離せない時など、テレビ番組やDVD、動画サイト、スマホのゲームなどに子どもが夢中になっているほうがラクなので、ついつい放任してしまうことがありがちです。

でも、子どもは動物としての原点に近いというか、目の前の欲望に忠実ですから、放任していると夜遅くまでテレビや動画サイトを観ることが、習慣になってしまいやすいのです。そうすると、子どもの体内時計が乱れ、慢性的に質のいい睡眠を取れなくなってしまう懸念があります。

大人としては少し面倒ではありますが、夕方以降の時間はしっかりと子どもと向き合って過ごし、自分自身も夕方以降はテレビや動画サイトなどに頼りすぎることがないように注意しています。

子どもの睡眠時間は8~9時間は確保するべきです。仕事の都合など、実践するのが難しい家庭もあるかとは思いますが、小学生以下の子どもが毎日のように23時過ぎまで起きているといった生活習慣は、改善できることをひとつでも実践して、正していくのがオススメです。

以上、白濱先生からのアドバイスでした。

家族みんなで、楽しい年末年始をお過ごしください!

自分の子どもに「大晦日くらい夜更かしを許してあげよう」と思うのは、自分自身が子どものころ、おじいちゃんやおばあちゃん、年の近いいとこなど、家族や親族みんなで楽しい時間を過ごした経験がある方が多いのではないでしょうか。年越しそばやお年玉、おせち料理など、大晦日や元旦には、楽しいことがいっぱいありましたよね。

「眠らずに年明けを迎える」という日本の伝統的な風習があるのは、新年の幕開けとともに各家庭に訪れる年神さまをお迎えするためとされています。とはいえ、江戸時代などには日没が1日の区切りであり、大晦日の夜はすでに「新年」とされていたともいいます。

今でも、大晦日の夜は眠らずに過ごす習慣が残っている地方もあるようですが、大晦日や元旦という特別な日を迎えるイベントを、家族揃って過ごす楽しさを子どもが体験することが、とても大切なのではないかと思います。夜更かしそのものにこだわり過ぎるより、伝統的な習慣を子どもと一緒に楽しむのがいい、ということですね。

では、よいお年をお迎えください!

(世界睡眠会議編集部)


白濱龍太郎先生
筑波大学医学群医学類卒業。東京医科歯科大学大学院統合呼吸器病学修了(医学博士)。東京医科歯科大学呼吸器内科、東京共済病院呼吸器内科、東京医科歯科大学睡眠制御学睡眠センターを経て、現在、医療法人RESM理事長。社会医学系指導医、日本睡眠学会認定医、日本医師会認定産業医。
著書:『9割の不眠は「夕方」の習慣で治る』(SB新書)『人生が劇的に変わる睡眠法』(プレジデント社)『誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』(アスコム)など

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