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ながれ星のよる ランスロットとリンゴの木

ながれ星のよる ランスロットとリンゴの木

ベッドに入って目を閉じる。
あなたは何秒で眠れますか?

身体は疲れていても、僕らの脳はそう簡単に"考える"作業をやめてくれない。
結局寝がえりの中で悶々と睡魔という名の悪魔を待ち続ける夜を過ごすことになる。

ましてや寝る前にスマホで明日のスケジュールを確認すれば、面倒な会議や口うるさい顧客とのアポイントに憂鬱になるし、転職を考えるけれど新しい環境に飛び込む勇気なんてそうそう持ち合わせてもいない。

欲しいクルマは1年後だってきっと買えないだろう。
駅まで徒歩20分のアパートにいつまで住み続ければいいのか見当もつかない。

そんな若かりし頃から今に至るまで、夜ごと不安や願望が頭の中で跳ね回る。

そんな夜は、何度も読み返して飛び出す絵本のように映像化して読めるマンガを眺めながら眠たくなるのを待つのが自分流快眠術。

ちなみに最近のお気に入りはキングダム。出世をあきらめたサラリーマンだって、名もなき下僕の主人公が出世していく様は感情移入して憧れるのだ。頭の中の余分な思考をきれいに取り払ってくれて、1冊眺め終わるころには何も考えずにまどろみの中というわけだ。

ながれ星のよる/誰向けなのかさっぱりわからない絵本

とはいっても、新ネタは必要。おやすみ本は難しくなくワクワクできて重たくないことが肝心。そこで時折子供たちの書棚を覗くことがある。その中からお気に入りの一冊を紹介したい。

ながれ星のよる ランスロットとリンゴの木
たむらしげる作

もう10年以上前に買った絵本で、2005年の初版をもっているのだが、いったい誰向けの絵本なのだろう。いや、買った張本人の僕は子供向けに買ったのだけれど、この本は妙に大人びていて、ちょっとブラックで、そしてハチャメチャだ。

2005年刊行というところがミソなのだけれど、主人公のロボットは"たっぷりエネルギーをじゅうでん"して、さらに"手に、バッテリーをもち"夜をあるいてゆく。

すると、壊れたテレビがあったり、あるく巨大なビルをやりすごしたり・・・。
妙に示唆に富んでいないだろうか。

主人公は世の中を変える理想のサラリーマン像?

小心者のサラリーマンが、それなりに準備を整えて「お仕事?」に出発するのだけれど、心ここにあらずで今日もふらふら行き当たりばったりで仕事をさぼる。なのにとっても楽しく、そして風変わりな奴らと仲良くなっていく。

主人公がロボットだけに、ロボットみたいに真面目にやるだけが能じゃないぞ!と皮肉を込めているような気がするのだ。そう、このロボットは怠け者に見えるけれど、やたら友達の多い魅力的なサラリーマンよろしく妙に人間味があっていい。

最後に "おやすみ"と気持ちよく終わってくれるこの絵本、とんでもストーリーに「うわぁ!」と引き込まれつつもなんだか前向きな気持ちで安らかに目を閉じられる。

パズルのピースを正確に早く探す正解探し型サラリーマンが求められる時代は疾うに終わり、無造作にばら撒かれたブロックから誰も知らない価値のあるものを作れる人間味溢れる創造型サラリーマンが求められる時代。

もうすぐそんな時代がやってくるのだよと2005年に世の子供たちに教えてくれていたとしたらどうだろうか。

いずれにしても、この本を読み育った創造型の若者たちがもっと活躍しやすい社会になるとうれしいなぁ。


ながれ星のよる ランスロットとリンゴの木 たむらしげる作

写真の初版は品切れ。現在は復刊ドットコムから、出版されている。
HP:https://www.fukkan.com/

たむらしげるスタジオ
http://www.tamurashigeru.com

企画:(株)フルドライブ
ライター:尾関

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